アカデミー賞ノミネート作「aftersun アフターサン」 父娘のひと夏の思い出を焼きつけた、大島依提亜によるビジュアル10種
2023年4月10日 17:00

ポール・メスカルが、第95回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた「aftersun アフターサン」から、デザイナー・大島依提亜氏が手がけたバリエーションビジュアル10種がお披露目。父と娘のまばゆい、ひと夏の思い出の数々が切り取られている。

本作は、11歳のソフィが父とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父と同じ年齢になった彼女の視点でつづった物語。多くを語らず、ミニマリスティックな演出で、見る者に深い余韻をもたらす。第75回カンヌ国際映画祭の批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、A24が北米配給権を獲得。2022年末には複数の海外メディアがベストムービーに挙げ、毎年映画ファンが注目するバラク・オバマ元米大統領の「お気に入り映画」にも選出された。3月30日時点で、世界各国の映画賞に228ノミネートされ、74の受賞を果たしている。

父カラムを演じたメスカル(「ロスト・ドーター」)は、第95回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた。ソフィ役には、半年にわたるオーディションで800人から選ばれた新人フランキー・コリオ。スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズが監督・脚本を担い、みずみずしい感性で長編デビューを飾り、第76回英国アカデミー(BAFTA)賞の英国新人賞を獲得した。第89回アカデミー賞で作品賞を含む3冠に輝いた「ムーンライト」のバリー・ジェンキンスが脚本に惚れこみ、プロデューサーを務めた。


本作のクリエイティブディレクションを担当した大島氏によるバリエーションビジュアル10種は、20年前のビデオテープに残る、トルコのリゾート地での父娘の親密な時間を浮かび上がらせる。劇中では、カラムは31歳の誕生日を、11歳の娘ソフィと迎える。若くして父となった彼と娘は、周りから見るとまるで年の離れた兄妹だ。役を演じたメスカルとコリオは14歳差で、ふたりの仲の良さも伝わってくる。

さらには、波打ち際ではしゃいだり、ビーチへの道を連れ立って歩いたり、陽光の下、寝そべってトランプをしたりする、ふたりの楽しい瞬間が刻まれている。一方、公衆電話でふたりが誰かと話す様子や、笑顔でカラムを見上げるソフィと、心配そうな顔で見下ろすカラムという、意味深なカットも。楽しさと切なさのつまった記憶が、ふたりの交わす言葉とともに、写真に焼きつけられている。
作品への深い理解と共感で、物語の世界観をより魅力的にクリエイティブへと昇華する大島氏。本作について、「父と娘のバカンスを切り取っただけの物語がこれほど豊かな映画体験をもたらすとは。まず初見で見た時に心臓を鷲掴みにされながら強く思ったので、ふたりの様々なシーンをひとつひとつポスターにしました。ふたりのかけがえのない時をなるべく留めておきたくて、本当はもっともっと作りたかったです」と、その魅力を語っている。
「aftersun アフターサン」は、5月26日から東京のヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開。
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