誰もが知るあのブランドは無愛想 or ニッコリ!? 「逆転のトライアングル」ブラックユーモア満載の本編映像
2023年2月9日 15:00

第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、第95回アカデミー賞で作品賞を含む3部門にノミネートされたリューベン・オストルンド監督作「逆転のトライアングル」から、ブラックユーモア満載の本編映像がお披露目。ファッションモデルのカール(ハリス・ディキンソン)がオーディションで、ブランドによって“無愛想”と“ニッコリ”の使い分けを学ぶ姿が切り取られている。
「フレンチアルプスで起きたこと」(2014)、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」(17)など驚くべき人間観察眼とセンス抜群のブラックユーモアを得意とするスウェーデンのオストルンド監督が本作で選んだテーマは、ファッション業界とルッキズム、そして現代における階級社会。社会問題を痛烈に炙り出す手腕で、観客の価値観を見事にひっくり返す、“世紀の大逆転エンタテインメント”を完成させた。
カールは、恋人で人気インフルエンサーのヤヤ(チャールビ・ディーン)と招待を受け、豪華客船の旅に出る。そこには、ロシアの大富豪、イギリスの武器商人、アル中の船長(ウッディ・ハレルソン)、高額チップのためならどんな乗客の望みでも叶える客室乗務員ら、クセ者が揃っていた。ある夜、嵐に巻き込まれて船が難破。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く。水も食べ物もSNSもない極限状態でのサバイバル生活が始まるが、そこでヒエラルキーというピラミッドの頂点に君臨したのは、船のトイレ清掃婦アビゲイル(ドリー・デ・レオン)だった。
本編映像は、高級ブランド「フォン・オーベン」のランウェイモデルオーディション会場で、カールがインフルエンサーの突撃インタビューを受ける冒頭シーン。インフルエンサーに「(これから受けるオーディションの)ショーのブランドは無愛想? ニッコリ?」と問われるが、カールは意味が分からず困惑する。そこでインフルエンサーは優しく、「ニッコリは安いブランド。高級なブランドは顧客たちを見下さなきゃ。『フォン・オーベン』を着る人は大金を見せびらかす感じ」と説明する。
オーディションシーンの一部は日本版予告編にも使用されており、実在するブランド名を挙げてその違いを表現する、オストルンド監督お得意の強烈なブラックユーモアに、SNSでも「このシーンだけで映画見たくなった」「このくだりだけで既に最高! 絶対面白い映画」など注目が集まっている。
オストルンド監督は、本作でファッション業界を描こうと考えたきっかけを、ファッションフォトグラファーであるパートナーの影響だといい、「ファッション業界においては男性よりも女性が優位で、男性モデルの置かれている状況は、男性優位な社会において女性たちが強いられていることと変わらないと知ったんだ。独特な世界で面白いと思ったよ」と語る。「また以前から“ルックスの美しさが持つ経済的価値”に興味があった。大抵の人間は生きていく上でルックスと向き合わねばならないからね。どんな見た目をしているかというのは、社会経験に影響すると思うんだ。ファッション業界を舞台にすることでルックスについても描けると考えたんだ」と明かす。
俳優業で成功する前に、モデルとしても活動していたディキンソンは、役づくりについて、「いまでもモデルをしている友人がいたり、この業界には少し縁があるんだ。何人かファッションフォトグラファーとも話をしたよ。ファッション業界にはいくつもの階層があるから、カールはどのレベルなのか、どういった立ち位置なのかを見極めることが大事だった」と振り返る。なお、本シーンにも登場している架空のブランド「フォン・オーベン」は、スウェーデン語で「上から」の意味。どこまでも皮肉と遊び心がつまった、小さなこだわりも必見だ。
さらに、映像に登場するインフルエンサー役のトビアス・ソーウィドは、身長2メートルを誇るスウェーデンのプロチアリーダー。チアリーダーとして活躍するかたわら、ラジオパーソナリティ、モデル、俳優などさまざまな顔を持ち、明るいキャラクターで広く愛されている。北米の映画公式インスタグラム(https://www.instagram.com/triangleofsad/)では、キャンペーンとして彼を起用した街頭インタビュー企画を実施。映画同様に「無愛想? それともニッコリ?」と、道行く人々に愉快に絡んでいる。
「逆転のトライアングル」は、2月23日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。
Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

映画「F1(R) エフワン」
【語れば語るほど、より“傑作”になっていく】上がりきったハードルを超えてきた…胸アツをこえて胸炎上
提供:ワーナー・ブラザース映画

たった1秒のシーンが爆発的に話題になった映画
【この夏、絶対に観るやつ】全世界が瞬時に“観るリスト”に入れた…魅力を徹底検証!
提供:ワーナー・ブラザース映画

でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
【あり得ないほど素晴らしい一作】この映画は心を撃ち抜く。刺すような冷たさと、雷のような感動で。
提供:東映

186億円の自腹で製作した狂気の一作
【100年後まで語り継がれるはず】この映画体験、生涯に一度あるかないか…
提供:ハーク、松竹

なんだこの映画は!?
【異常な超高評価】観たくて観たくて仕方なかった“悪魔的超ヒット作”ついに日本上陸!
提供:ワーナー・ブラザース映画

すさまじい映画だった――
【あまりにも早すぎる超最速レビュー】全身で感じる、圧倒的熱量の体験。
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

“生涯ベスト”の絶賛!
「愛しくて涙が止まらない」…笑って泣いて前を向く、最高のエール贈る極上作【1人でも多くの人へ】
提供:KDDI

究極・至高の“昭和の角川映画”傑作選!
「野獣死すべし」「探偵物語」「人間の証明」…傑作を一挙大放出!(提供:BS10 スターチャンネル)