パリでは、悪質な人間ほど高い席に座る 純朴な青年が転落していく「幻滅」予告完成
2022年12月23日 11:00
19世紀フランスを代表する文豪、オノレ・ド・バルザックが書き上げた「幻滅 メディア戦記」を、グザビエ・ジャノリ監督(「偉大なるマルグリット」)が映画化し、セザール賞で作品賞含む最多7冠を受賞した「幻滅」の予告編がお披露目。公開日は、2023年4月14日に決定した。
原作は、バルザックが44歳で執筆した「人間喜劇」の一編「幻滅 メディア戦記」。彼が社会を俯瞰し、そのなかで翻ろうされるさまざまな人間像や、200年前の物語とは思えないほど現代と酷似したメディアの状況を鋭利に描いた、社会派人間ドラマだ。
バンジャマン・ボワザン(「Summer of 85」)が主人公リュシアンを演じ、1820年のフランスで、純粋な青年が野心と欲望に惑わされ、堕落していく過程を演じた。リュシアンの先輩格として彼を教育していくジャーナリストに扮するのは、バンサン・ラコスト(「アマンダと僕」)。私欲にまみれた人々のなかで唯一、誠実にリュシアンを見守る作家ナタン役に、監督としても世界的な人気を誇るグザビエ・ドラン(「マティアス&マキシム」)を配した。そのほかセシル・ドゥ・フランス、サロメ・ドゥベル、ジェラール・ドパルデュー、ジャンヌ・バリバール、本作が遺作となったジャン=フランソワ・ステブナンら、フランス国内外の実力派俳優が結集した。
予告編では、文学を愛し、詩人として成功を夢見る田舎の青年リュシアンが、憧れのパリで暮らすなかで、当初の目的を忘れ、欲と虚飾と快楽にまみれた世界に身を投じていく。宮廷貴族が復活し、自由と享楽的な生活を謳歌していたフランスの社交界に現れた、貴族の人妻ルイーズ(フランス)と駆け落ち同然でパリに上京し、「都会に慣れていない子」と紹介されるリュシアン。生活のために何とか手にした新聞記者の仕事で、世渡りのうまいジャーナリスト(ラコスト)からは「金のためなら魂を売らないとな」と言われる一方で、作家ナタンからは「嘘の記事や批評に価値なんてない。真実で戦え」と忠告される。「このパリでは、悪質な人間ほど高い席に座る」という皮肉めいたナレーションが挿入され、リュシアンがたどる運命が気になる仕上がりとなった。
史上最多ノミネートとなったセザール賞では、作品賞、最優秀助演男優賞(ラコスト)、有望新人男優賞(ボワザン)など最多7冠を受賞。ボワザンは、「すべてのカテゴリーで受賞するといいなと思っていました。結果的に最優秀作品賞を含む7冠を獲得することになったわけですが、このチームが評価されたということでうれしかった」と振り返る。日本でも、フランス映画祭2022で12月2日に上映され、「セザール賞受賞納得の見ごたえ」「豪華なキャスト!」「2時間半あっという間で面白かった」など、絶賛の声が寄せられた。
あわせて、12月23日から前売券が、上映劇場窓口、メイジャーオンライン、ムビチケ販売サイトで販売されることが決定。特典は、メイジャーはオリジナルポストカード2枚セット、ムビチケ(オンラインのみ販売)は、オリジナルスマホ壁紙となる。「幻滅」は23年4月14日から、東京・ヒューマントラスト有楽町ほか全国で公開。
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