「映画を見た男性が卒倒した」中絶が違法だった時代、大学生の命がけの闘いをリアルに描く「あのこと」監督&主演女優に聞く
2022年12月7日 20:52

今年10月にノーベル文学賞を受賞したフランスの作家、アニー・エルノーの自伝的小説が原作で、2021年・ベネチア映画祭金獅子賞を受賞した「あのこと」(公開中)。法律で中絶が禁止されていた1960年代フランスを舞台に、望まぬ妊娠をした大学生の12週間にわたる闘いを、主人公アンヌの目線からリアルに描いた作品だ。来日したオドレイ・ディワン監督とアナマリア・バルトロメイに話を聞いた。

労働者階級に生まれたアンヌは、貧しいながらも持ち前の知性と努力で大学に進学。未来を掴むための学位にも手が届こうとしていたが、大切な試験を前に自分が妊娠していることに気づく。中絶が違法とされる中、アンヌは解決策を見いだすべく、たったひとりで奔走する。
私は偉大な作家の作品を映画化するということは、原作を裏切るリスクがあると気づいたのが遅かったのです。ですからそのことを考えずに映画を作りました。主人公のアンヌが常に自由を求めていたことに何より惹かれたのです。知的な自由、性的な自由など、自分の自由は何としてでも勝ち取りたい、そういった姿勢に心打たれました。
アニー・エルノーの受容のされ方も時代と共に変わっていきました。最初はジャーナリストたちから無視されていましたが、今では学校の教科書にも取り入れられ、彼女の声がより多くの読者に届いています。



重いテーマの作品であるが、姉妹のような仲の良さで、ときおり冗談も交えながら取材に対応してくれたふたり。撮影中も、明るい雰囲気の現場だったそう。
最後に、女性であることで理不尽な思いをしたことはありますか?と尋ねると、バルトロメイは「ノン」とひとこと。その回答を受けて、ディワン監督は「それは、ラッキーなこと。私は仕事の世界、監督としては今でも(男性社会と)闘っています」という。長編2作目の本作がベネチア受賞など高く評価されたことで、「より自由を得ることができた」そうで、レア・セドゥを主演に迎える新作「エマニエル夫人」のリメイク版も注目されている。「賞を得たことで展望が開け、以前より声を聞いてもらえるようになりましたが、並行してプレッシャーも大きくなりました。『エマニエル』は来年の9月にクランクインです」と語った。
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