ディオールのドレスに魅せられた家政婦がパリへ 「ミセス・ハリス、パリへ行く」監督に聞く裏話
2022年11月18日 09:00
ディオールのドレスに魅せられ、パリへと渡る家政婦を描く「ミセス・ハリス、パリへ行く」が、11月18日から公開された。新しい出会いを引き寄せていく主人公ミセス・ハリスの表情はとても晴れやかで、鑑賞後には自分の人生にも希望を抱かせてくれる、優しい作品だ。脚本も手掛けたアンソニー・ファビアン監督に、本作の話を聞いた。
1950年代、第2次世界大戦後のロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦ミセス・ハリスは、勤め先でディオールのドレスと出合う。その美しさに魅せられた彼女は、フランスへドレスを買いに行くことを決意。どうにか資金を集めてパリのディオール本店を訪れたものの、威圧的な支配人コルベールに追い出されそうになってしまう。しかし、夢を決して諦めないハリスの姿は会計士アンドレやモデルのナターシャ、シャサーニュ公爵ら、出会った人々の心を動かしていく。
この作品を見て、自分も頑張ろうって思ってもらえたらすごく嬉しいです。わたしが主人公に惹かれた理由でもあります。生まれてきた世界をより良い場所にしてから去っていくべきだと考えているのですが、今回の映画はそういうことを伝えられる素晴らしい機会だと思いました。自分のふるまいが自分の人生にどんな影響を与えるのかが描かれています。親切な人は、より良い人生になると思うんです。ありきたりに思うかもしれませんが、実際に親切ができている人は少ないので、改めてそういうことを感じるきっかけになったら嬉しいです。
今まで映画を作ってきた中で思ったのは、より具体的であるほど物語が普遍性を帯びるということです。キャラクターがより具体的に描かれていると、多くの人が共感できます。この物語もそれぞれのキャラクターがかなり具体的に描かれています。夫を亡くした家政婦が、お金を貯めてディオールのドレスを買いに行く……これだけを聞くと観客の幅は狭いかもしれませんが、彼女が自己発見をしていく物語は普遍性を持っているし、手の届かないものを追いかける気持ちや、階級的には低い場所にいる主人公が夢を追いかける姿、夫を失った彼女が大事なものに気付いていく様子が、多くの人に響いたのかなと思います。
我々の時代のもっとも偉大な役者の一人です。彼女のすごいところは、自分の人生で経験してきたことをすべて役に落としてくれます。また、役者として稀有なのは、自分が感じていること、考えていることを目や表情ですぐ伝えることができる。彼女の演じるキャラクターが今何を考えているのか、表情だけで見て取ることができます。
スムーズでもあり、大変でもありました。幸運にも、僕自身が映画に関する権利などを管轄しているディオールのマーケティングのヘッドの方を紹介していただいて、最初からこの企画に興味を持っていただきました。原作小説の力のほか、映画や小説内で扱われるブランドがディオールだけだったということも興味を持っていただけた理由にあると思います。ただ、サポートはしたいけれど、それに見合うだけの作品を作ってもらえるのかは心配していたようです。
大事なのはキャスティングだったので、「ファントム・スレッド」のレスリー・マンビルがハリスを演じること、そしてフランスのメリル・ストリープのようなイザベル・ユペールがディオールを象徴するよう役を演じること、さらに衣装デザインとしてジェニー・ビーバン(「クルエラ」)の参加も決定してからは、作品のクオリティーにも安心してくれたようです。
基本的には自由にデザインをしてもらいましたが、すべてのデザインはクリスチャンディオールをベースにしています。1着目のハリスが一目惚れするドレスは、心を掴む美しいものでありながら、持ち主の婦人が実際に着ているだろうと思わせるような信憑性も必要でした。オートクチュールの2着は、実際には何カ月もかけて作られますが、映画に向けたスケジュールで作ることができるかも重要でした。しかし、1番大切だったのはハリスが実際に着たい、着られると思えるようなデザインであることです。
次の映画が作られるまで、そんなに時間がかからないことが今の夢です。自分の作りたい映画の内容、新しいことをしたいというビジョンをみんなにわかってもらうことは大変な作業なんです。フィルムメーカーにとっての映画作りとは、完成するまでは手の届かないもの、追いかけ続ける夢のようなことだと思います。今はまだたくさん叶えたい夢があるので、映画を作って実現して、みんなと喜びを分かち合いたいです。
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