鈴木亮平&宮沢氷魚の恋人役で大事だったのは「相性とバランス」 「エゴイスト」松永大司監督が明かす

2022年10月27日 19:00


ティーチインに臨んだ松永大司監督
ティーチインに臨んだ松永大司監督

第35回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された映画「エゴイスト」が10月27日、東京・丸の内ピカデリーで上映され、松永大司監督が観客とのQ&Aセッションに出席した。

エッセイスト・高山真氏の自伝的小説を、「トイレのピエタ」の松永監督が映画化した本作。主人公となるのは、14歳で母を亡くしゲイである本当の自分を押し殺して思春期を送ってきた浩輔(鈴木亮平)。現在は東京でファッション誌の編集者として働く彼が、母を支えながら暮らすパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)と出会い、惹かれ合っていく姿を描く。

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上映後の会場は涙をぬぐう人の姿も多く見受けられ、松永監督は大きな拍手に迎えられて登壇した。「ワールドプレミアを東京国際映画祭のコンペティションで上映できたことを、本当に光栄に思います」と挨拶。司会から、恋人を演じた鈴木と宮沢がすばらしい演技を見せていると評価されると、「鈴木亮平演じる浩輔と、宮沢氷魚演じる龍太の相性やバランスを考えながら、プロデューサーと一緒に考えた結果、このおふたりにオファーさせてもらった」とキャスティングのポイントを明かした。

彼らの演技を引き出すためには、「毎作品やることなんですが、クランクインする前にかなりしっかりとしたリハーサルをやります。シナリオの前後や、台本に書かれていないシーンのキャラクター作りをやってもらった」と土台作りに専念した上で、撮影に臨んでもらったという。監督デビューをしてから約10年。あらゆる経験を本作に注いだそうで、「全シーン、ワンシーンワンカットで撮影をした。完成した作品の4分の1くらいはシナリオにまったくないシーンで、その場で作っているもの。(監督として)ドキュメンタリーとフィクションを行ったり来たりしている経験が、この作品には生かされている。セリフを言ってもらうところと、キーワードを言ってくださいと指定して、あとは即興芝居でやってもらうシーン。その両方が今回はありました」とその場のリアルな空気までを映し出していった。

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観客からは「鈴木亮平さんは、2019年に東京国際映画祭で監督から『亮平と一緒にやりたい企画がある』と言われたそうです。鈴木さんをキャスティングしたのはなぜですか?」という質問が上がる場面もあり、松永監督は「亮平と出会ったのはすごい昔。僕が監督になる前、彼が俳優になる前からの友人でした。彼が役者として表に出している面と、プライベートで僕に見せる面、それらが必ずしも一緒ではないことを知っています」と告白。「僕がキャスティングする上で大事にしているのは、ないものを引っ張り出すことはできないということ。その人が、役として必要な要素を持っているかどうか。それを引き出すのが、僕にとっての演出。鈴木亮平が浩輔に必要な要素を持っているかどうか、それが(鈴木をキャスティングした)大きな理由です」と語っていた。

第35回東京国際映画祭は、11月2日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。

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