「雑魚どもよ、大志を抱け!」オーディションの決め手となった池川侑希弥の“まぶしさ” 足立紳監督が明かす
2022年10月26日 19:54
映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」のワールド・プレミアが10月26日、第35回東京国際映画祭で行われ、東京・丸の内ピカデリーでの舞台挨拶に足立紳監督が登壇した。
「百円の恋」「喜劇 愛妻物語」などで知られる足立監督の最新作で、関西ジャニーズJr.内のグループ「Boys be」の池川侑希弥を映画初主演に迎えた本作。昭和の終わり頃、ある地方の町で育つ小学6年生の男の子たちの葛藤と前進を描く。足立監督は「今日はたくさんの方々にこの映画を観てもらえて、本当にうれしいです」と喜びを噛み締めていた。
物語の主人公・高崎瞬は、がんの手術で片方の乳房を無くしたロうるさい母・佳子と、多くを語らない父・作郎の下で育つ、仲間たちとのバカな遊びやいたずらに夢中なやんちゃな男の子。オーディションで抜てきされた池川が瞬を演じているが、観客とのQ&Aセッションでは「池川さんは普段はアイドルとし活動している方で、今回は映画初出演で初主演。第一印象や役者としての魅力をお聞きしたい」との質問が上がった。
足立監督は「作文を書いてもらったり、オーディションを受けている他の人たちと『この小説を読んでどうだった?』『小学校の生活はどう?』などいろいろと話してもらった」とオーディションを回想。「言葉は少ないんですが、一生懸命に自分の思っていること、実感の持てていることだけを話しているような気がした。借り物ではない言葉でしゃべっている感じ、そして作文からも、人間的な素直さや、まっさらな感じがとてもまぶしいなと感じたのを覚えています」と純粋さを感じ取ったという。
さらに他の子供たちについても「すごく新鮮でとても良かった」と感想が上がる場面もあり、足立監督は「7人、全員をオーディションで選ばせていただいた」とコメント。「クランクインするまでに2カ月くらいリハーサルをして。1日1回はどのシーンでもいいから、台本に目を通しておいてくれと言いました。この時代も知らないし、触れ続けてほしいと思ったんです。みんなそれを実直に守ってくれた」と語る。さらにロケ地となった岐阜県飛騨市に入ってからは、どんどん彼らが役に入り込んでいくのを目の当たりにしていたそうで「本番のないところでの彼らを見ていても、いい意味で役が抜けていない感じがあった」と撮影をしながらも手応えを感じていたと明かした。
「僕自身、勇気の持てない人生をかなり長く歩んできた。今もそう。わずか1ミリの勇気があれば、もしかすると人生が好転するかもしれないということは伝えたいし、自分自身にも言いたいという気持ちがあった」と本作に込めた思いを吐露した足立監督。観客からは「相米慎二監督の影響を感じる」という声もあったが、「相米さんを目指すとか、そんな大それたことは考えていない」としながらも、「このシナリオの原型となるものを初めて読んでいただいたのは、相米さん」と告白。「初めて相米さんに褒められて、そのときに有頂天になった。もしかしたら、俺もシナリオを書いていけるかもしれないなと少しだけ思った」と目尻を下げていた。
「雑魚どもよ、大志を抱け!」は、2023年春、東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。第35回東京国際映画祭では、Nippon Cinema Now部門正式招待作品に選出された。同映画祭は11月2日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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