異常性格者の主人公、資本主義社会の非情…養鶏場猟奇サスペンス「殺しを呼ぶ卵」“最長版”12月2日公開
2022年10月14日 12:00

1968年に公開されたイタリア=フランス合作映画「殺しを呼ぶ卵」。初公開時に世界配給された90分前後の国際版にはない残酷場面、異常場面を含む105分の最長版が、12月2日から新宿シネマカリテにて日本初公開、以降、ほか全国順次公開される。
ローマ郊外の巨大養鶏場。社長のマルコは業界の名士として知られていたが、経営の実権と財産を握る妻アンナに対する苛立ちは日々強くなる一方だった。マルコは同居するアンナの十代の姪、ガブリと愛人関係にあっただけでなく、妻への憎しみを女性へのサディズムで発散する異常性格者だった。そして3人それぞれの隠された欲望が暴かれる時、事態は予想もできない展開と想像を絶する畸形ニワトリを産む。
主人公マルコ役には、去る2022年6月に死去した「男と女」(66)、「暗殺の森」(70)などで知られる名優ジャン=ルイ・トランティニャン、妻アンナ役には当時のイタリアを代表する女優ジーナ・ロロブリジーダ、そしてガブリ役にはスウェーデン出身、当時18才のエバ・オーリンが扮している。

監督・脚本は、マカロニ・ウエスタン屈指の残酷描写で世界を騒然とさせた「情無用のジャンゴ」(67)の鬼才ジュリオ・クエスティ。この作品でクエスティは、イタリアン・ホラーの名手マリオ・バーバが先駆け、後にダリオ・アルジェントが確立する猟奇サスペンスに挑戦。欲望渦巻く犯罪ドラマを倒錯嗜好と残酷趣味で毒々しく表現し、養鶏場のオートメーション化に伴う労働者解雇という資本主義社会の非情、餌をやらなくても成長を続ける首も羽根もない畸形ブロイラーの研究開発という、利潤追求のためには生命倫理をも蹂躙する企業の非人間性を暴き、同時期のパゾリーニ、アントニオーニ、エリオ・ペトリ監督作品にも通じる、社会派的メッセージを鮮明に打ち出している。
このほど公開される最長版から、本作は猟奇サスペンスの王道作でありながら、その定型から逸脱し、社会問題や実験的な映像表現、さらには現代にも通じるアイデンティティの喪失、世の不条理と人生の虚無にまで踏み込んだ、クエスティ監督唯一無二の作家性と野心作に気付かされるだろう。
「殺しを呼ぶ卵 最長版」は、12月2日から、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
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