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余命宣告された息子と母の愛 「愛する人に伝える言葉」が描く“光”【監督インタビュー】

2022年10月6日 15:00

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エマニュエル・ベルコ監督
エマニュエル・ベルコ監督

がんを宣告された主人公とその母親が、穏やかに死と対峙していく過程を描く「愛する人に伝える言葉」。フランスを代表する名女優カトリーヌ・ドヌーブと、「ピアニスト」のブノワ・マジメルが共演し、病を扱ってはいるものの、鑑賞後は心にじんわりと光が灯るような作品だ。「太陽のめざめ」で知られ、本作のメガホンをとったエマニュエル・ベルコ監督に本作の話を聞いた。

画像2(C)Photo 2021 : Laurent CHAMPOUSSIN - LES FILMS DU KIOSQUE

バンジャマン(マジメル)は人生半ばですい臓がんを宣告され、母のクリスタル(ドヌーブ)とともに、業界でも名医として知られるドクター・エデ(ガブリエル・サラ)を訪れる。2人は彼に一縷の希望を託すのだが、エデはステージ4のすい臓がんは治せないと率直に告げる。ショックのあまり自暴自棄になるバンジャマンにエデは、病状の緩和による生活の質を維持するために化学療法を提案し、「一緒に進みましょう」と励ます。ドクター・エデの助けを借りて、クリスタルは息子の最期を気丈に見守ることを心に決める。

ベルコ監督は「鑑賞後には人生がより良い方向に行くような、ポジティブな光のある作品にしたかったんです。よく『身近な人を失う前に見たかった』と言っていただくのですが、大切な人を失った後に見ても、人生にポジティブな教訓を与えてくれると思います」といい、ドクター・エデ役で出演もしている現役のがん専門医ガブリエル・サラ(ドクター・サラ)の力が大きいと語っている。

画像3(C)Photo 2021 : Laurent CHAMPOUSSIN - LES FILMS DU KIOSQUE
――この題材を映画にしようと思ったきっかけ、ガブリエル・サラさんとの出会いについて教えて下さい。

まず、カトリーヌとブノワでメロドラマを撮りたいというのがこの映画の出発点でした。母親が息子をがんで失うというのは決まっていて、その後にサラとの出会ったんです。前作「太陽のめざめ」がニューヨークの映画祭で上映される際、観客とのQ&Aが終わってから、彼が「がん専門医なのですが、こういう映画を撮られる監督さんなら私の病院に興味を持たれると思うので、見学に来ませんか」と話しかけてきました。すでにがんについてのシナリオを書きつつあったので天命のように感じましたが、その時は時間がなくて。取材のためにニューヨークに戻ることができたのは、出会いから1年後でした。サラの病院に1週間取材のために滞在して、母と子だけではなく、重要な役としてドクターが必要で、さらにサラをインスピレーションの源にすることでポジティブな映画になると思いました。

――ガブリエル・サラさんも実際に出演しています。初めて出演オファーをしたときの彼のリアクションはいかがでしたか?

最初から出演してもらおうとは考えていなかったんです。ほかの俳優を探していたのですが、最終的に彼本人が演じたらいいと思いついてメールを送りました。彼自身やる気があるのかわからなかったのですが、もし興味があったらパリにカメラテストに来てくださいと送ったら、サラはメールを最後まで読まないうちに奥さんに興奮して話したそうです。サラはとても好奇心がある人で、常に新しい経験を求めているので、カメラテストに来てくれました。もちろん緊張もしていましたが、全力でやってくれました。彼自身にとっては、カトリーヌたちと共演できて幸せな経験だったようです。

彼の演技は素晴らしかったと思いますが、最初はテキストを覚えて間違いなくセリフを言えばいいと思っている節がありました。俳優の演技についての話をしたところ、彼のスイッチが入ったようで、演じるのではなくドクターになるんだということを彼が理解してからもっと良くなりました。彼のセリフに救われる人がたくさんいると思います。

画像4(C)Photo 2021 : Laurent CHAMPOUSSIN - LES FILMS DU KIOSQUE
――母子を演じたカトリーヌ・ドヌーブさん、ブノワ・マジメルさんの起用理由を教えてください。

私は観客としてもメロドラマが好きです。シナリオの段階で観客を泣かせるテクニックが存在しないといけないのですが、映画作家としてその挑戦を面白いと思うんです。今回は病というのがテーマですが、見ていてつらいようなドキュメントタッチにはしたくなかったんです。感動的な美しい光のある物語として、病というテーマを描きたかったんです。2人の役は当て書きでしたが、メロドラマ向きの性質、身体的特徴があると思います。美しくて誠実なものがある。この2人で書きたいと思いました。

――カトリーヌ・ドヌーブさんとは俳優としても共演経験があります。彼女の俳優としての魅力はどんなところにありますか?

これまでたくさんの映画に出演していますが、まだミステリアスなところがあり、知らない部分を追求したくなるような人です。ユニークな魅力があって、生きる喜びとメランコリーが混ざり合っていると思うんです。そして演技が複雑で、演技をするときの色が一つではない。喜びを表現していてもメランコリックな影がある。そういうところが私の心の琴線に触れるんです。

画像5(C)Photo 2021 : Laurent CHAMPOUSSIN - LES FILMS DU KIOSQUE
――ブノワ・マジメルさんはかなり痩せて撮影に臨んだように見えました。どんな役作りをされていましたか?

内面的な準備もしっかりしてくれたと思いますが、外見については登場シーンから病にかかっているので、「ある程度体重は落としてね」という話をしていました。サラの話によれば、体重が減らないまま亡くなる方もいるそうですが、映画の説得力のために落としてもらいました。ある程度撮影してから10日間撮影をストップして、そこでさらに体重を落としてもらってから再開する予定でした。ただ、今回はカトリーヌが体調を崩して8カ月撮影がストップしてしまったんです。コロナ禍でロックダウンも重なり、結局2回体重を落としたところで止まってしまった。終盤はスペシャルエフェクターも使用していますが、撮影が再開する前にまた減量をしてくれました。

愛する人に伝える言葉」は10月7日から公開。

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