「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」監督が伝えたい3つのメッセージ、30分で失恋の痛手から立ち直った瞑想とは
2022年9月22日 13:00
世界的ロックバンド「ザ・ビートルズ」の名盤「ホワイト・アルバム」のレコーディング直前のタイミングで、インド滞在期のビートルズと共に過ごしたカナダ人監督によるドキュメンタリー「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」が9月23日公開される。
1968年、当時23歳だったポール・サルツマン監督は失恋の傷を癒しに、北インドのガンジス川のほとりにあるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのアシュラム(僧院)を訪れる。そこでインド滞在期のビートルズに偶然遭遇し、彼らと共に瞑想を学びながら過ごした奇跡の8日間をカメラにおさめた。それから50年の時を経て、サルツマンはビートルズ研究の第一人者で歴史家マーク・ルイソンと共にインドを再訪する。このほど、サルツマン監督にオンラインで話を聞いた。
コメントを頂いておらず、観たかどうかもわかりません。観てもらえていたらとても嬉しいですが、そういった情報はありません。
伝えたかったことは3つあります。ひとつは、とにかく「瞑想」の力といったもの。映画の中でも語りましたが、私は30分で失恋の痛手から立ち直ることができました。ふたつめは創造性です。いろいろな理由で創造性というものが生まれてくると思いますが、彼らの場合は喜びや楽しさによって曲を作っていたんだということを伝えたかったのです。3つ目には、少し恥ずかしいのですが、当時の私は自分が何者かわかっていませんでした。それを知りたいと思っていた若者が、自分の心の中を見出していき、創造性などを完全に自分のものとして手に入れることできた成長物語です。この3つの面から作品を観てもらえたらと思います。
出演していただいた方たちに簡単には会えないということでした。彼らにはエージェントやマネージャーがいますが、その人たちが必ず企画を伝えてくれるとは限らないわけで、本人たちに自分の意思を伝えることがまず一番大事な方法でした。どうやって本人までたどり着くかというのがいつもすごく苦労する点です。モーガン・フリーマンに関しては、実は私は1965年にミシシッピで差別をなくす市民運動をしていたことがあり、そのことに興味を持ってくれた彼が過去に2本の作品に出演してくれたことがありました。そのためLAのエージェントに連絡が取れて、彼に会うことができました。
デビッド・リンチの場合はどうにも手掛かりがなかったので、リサーチシステムに依頼して探してみたら、うまいことパーソナルアシスタントとコンタクトが取れました。パーソナルアシスタントに行きつかず、別のところに連絡が行ってしまうと、本人までなかなかつながりません。ただザ・ビートルズの話を作りたいのではなく、瞑想に関してこういうものを作りたいというビジョンを話したら理解を示してくれました。
リシケシュから帰ってから1カ月くらいはしっかり続けていたのですが、その後仕事や映画製作などで、離れているというほどではありませんが、ときどき瞑想するといったレベルになっていました。今のほうが落ち着いて、毎日10分でも15分でも瞑想するようにしていて、それが生活にとても役立っていると思います。しっかりと続けていればまた違った良いことがあったかもしれないと思いますが、やはり仕事で忙しいときはやむを得ないので、ある種ブランクはありますが今は戻ってきて再び瞑想をしています。
レッスンはとてもシンプルで5分しかありませんでした。マハリシと非常に近いトップの先生が来て、マントラが書かれたものを渡されてそれを読んだと思います。初めて脚を組んだ時にはとにかく膝が痛かったのを覚えています。また、犬が外で鳴いていたので心がそっちに奪われてしまいました。先生に「どうだった?」と尋ねられ、「膝が痛くて、犬に心がとらわれてしまいました」と答えたら「それでいいのですよ。そういう時は一度マントラを止めて、また続ければいいのです」と言われ、そのまま先生は行ってしまいました。じゃあ、と思って続けてみたら、なんと30分後には失恋の痛手から立ち直れました。
実は、実際にマハリシと話すことはできなかったのです。私に初めに瞑想を教えてくれた先生が一度マハリシとの会話の場へ連れて行ってくれて、それが唯一のチャンスでしたが、ちょうどその時ザ・ビートルズも入ってきて、ジョージが「ジ・インナー・ライト」を弾き始めたりなどして、その場は終わってしまいました。瞑想が私の生き方を変えてくれたことは事実ですし、ジョージやジョンとの話や、彼らの存在が人生を変えてくれたのも同じなので、どちらがより影響が大きいといったことはありません。
好きな曲は20曲くらいありますよ! 3つ選ばなければいけないとしたら、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」「トゥモロー・ネバー・ノウズ」「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」です。今話していたら、ほかの曲たちが「もっといい曲があるだろう」と頭の中で言ってきました(笑)。ザ・ビートルズの多くの曲が私の心をとらえましたが、この3曲は特にとらえてくれました。
まずは「シー・ラヴズ・ユー」「ア・ハード・デイズ・ナイト」、そして先ほど挙げた3曲はもちろん忘れてほしくないですね。「タックスマン」「ペイパーバック・ライター」「ヘイ・ジュード」「ロッキー・ラクーン」「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」……まだまだありますが、まずはそのくらいですかね。
それぞれ違ったユーモアのセンスを持っていて、遊び心が豊かで、地に足がついていて、エゴイスティックではない、みんな楽しい人たちでした。その中でもあえて一人を選ぶならばジョージです。ジョージは本当に私に心を開いてくれて、「シタールを勉強したい?よかったら教えるよ」と声をかけてくれたりして、彼の言葉が人生を変えてくれたところがたくさんあります。透明で純粋で隠すところがない、深い人だったというのが私の印象です。
(長らく言葉を探してから)元気にされていると思います。幸せで、健康であられると思います。いつも素晴らしい曲を聞かせてくださって本当にありがとうございます。もう一言添えられるとしたら、「できたらチャイの一杯でも」と伝えたいです。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
【おうちで秋フェス】ブルース・スプリングスティーン、クイーン、ザ・ビートルズ――“いぶし銀”ミュージシャンの真髄に迫る音楽ドキュメンタリー8選
2024年10月23日 08:00