役所広司が菅田将暉、森七菜と親子役で初共演! 「銀河鉄道の父」映画化決定 23年GW公開
2022年9月19日 07:00
直木賞作家・門井慶喜氏による「銀河鉄道の父」(講談社文庫)の映画化が決定し、役所広司が主演を務め、菅田将暉、森七菜と親子役で初共演することがわかった。メガホンをとったのは、「八日目の蝉」「いのちの停車場」の成島出監督。撮影は5月、6月に行われた。2023年のゴールデンウィークに公開予定。
原作小説は、門井氏が大量の宮沢賢治資料の中から父・政次郎について書かれた資料をかき集め、宮沢賢治の生涯を父親の視線を通して活写。究極の親子愛を描いた傑作として、第158回直木賞を受賞した。映画化プロジェクトは小説が発売された翌年の17年から動き出し、名優たちが集い、6年越しで製作がスタートした。
宮沢政次郎は父の代から富裕な質屋であり、長男の賢治は本来なら家を継ぐ立場。しかし、賢治は適当な理由をつけてはそれを拒む。学校卒業後は、農業や人工宝石、宗教と我が道を行く賢治。政次郎は厳格な父親であろうと努めるも、賢治のためならとつい甘やかしてしまう。やがて、妹・トシの病気を機に、賢治は筆を執る。
役所が演じる政次郎は、質屋家業と一家の主人として責任感と情熱のある明治の男。しかし、明治の男には珍しく子育てに熱心で、子供にはめっぽう甘い。役所は「(原作に)政次郎のことを『厳格だが、妙に隙だらけの父親だ』というような一文があり、これを手がかりに息子であり、作家宮沢賢治の大ファンの男を演じてゆこう」と思ったことを明かす。
髪を刈り上げて宮沢賢治に扮した菅田は、「あまりにも大役で身が引き締まる思いでした」と恐縮しながらも、「過不足なく演じることは不可能かもしれませんが、自分なりに宮沢賢治と真摯に向き合わせて頂きました」とコメント。「役との出会いはいつも不思議な縁を感じますが、今回ほど出会えて良かったと思わされた現場も珍しいように思います」と熱い思いを語った。
一方、賢くしっかり者の妹トシ役を演じた森は、「宮沢賢治作品は国語の教科書などで読んだりもしていたので少し難しく考えてしまっていましたが、そんな若い世代の人にも、宮沢家の暖かく愉快で人間味溢れる時間が描かれたこの作品を通して、より宮沢賢治作品を楽しめるきっかけにもしていただけると思います」とコメントを寄せた。
キャスト、成島監督、原作者の門井氏のコメント全文は以下の通り。
原作に、宮沢賢治の父政次郎のことを「厳格だが、妙に隙だらけの父親だ」というような一文があり、これを手がかりに息子であり、作家宮沢賢治の大ファンの男を演じてゆこうと思いました。
また、この人物を作り上げる為に「花巻弁」を聞き取れるギリギリまで攻めてゆけば強力な武器になると信じ頑張りました。
成島組に集まったスタッフ、キャスト、素晴らしいチームでした!
クランクイン前に、岩手県花巻市に行きました。
町の至るところに、宮沢賢治さんの言葉や生きた証が残っていて、その残り香を感じることができました。
ひとりの生き様が約100年後の今なおこれほど土地に影響を与えている。そして、その言葉や思想、物語は海を渡り世界中に伝わっている。改めてそんな事を思うと、あまりにも大役で身が引き締まる思いでした。
しかし今回はその家族のお話です。賢治の父や母、妹、弟、祖父、家族との時間がいかに彼の人生にとって大切であったか。
偉大な作品の裏側を想像すると、ひとりの何者でもない青年にも見えてきました。
役との出会いはいつも不思議な縁を感じますが、今回ほど出会えて良かったと思わされた現場も珍しいように思います。
過不足なく演じることは不可能かもしれませんが、自分なりに宮沢賢治と真摯に向き合わせて頂きました。
どうか、宜しくお願いします。
今回宮沢賢治の妹宮沢トシを演じさせていただくことになりました。森七菜です。
「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」など、あの名作たちが生まれた時間を肌で感じることが出来た事は、今後の人生においてもとても貴重で豊かな経験になりました。
宮沢賢治作品は国語の教科書などで読んだりもしていたので少し難しく考えてしまっていましたが、そんな若い世代の人にも、宮沢家の暖かく愉快で人間味溢れる時間が描かれたこの作品を通して、より宮沢賢治作品を楽しめるきっかけにもしていただけると思います。
どんな時代でも、親は子の心配をし、振り回されるものです。それは、国民的作家、宮沢賢治の父にも当てはまりました。
門井慶喜さんの原作で描かれている、宮沢賢治の父・政次郎の"父でありすぎる"人物像に魅了されました。
そして、ダメ息子だった賢治が、生きる道を見つけ、若くしてその生涯を閉じるまでを、底なしの愛で包み込んだ宮沢家の人々に、普遍的な家族の絆を感じました。
役所広司さんの大らかで人を惹きつける父・政次郎、菅田将暉さんの繊細で透き通ったガラスのような息子・賢治、森七菜さんの賢明ではじけるような輝きを放つ妹・トシに、ご自身の家族や大切な人を想いながら観て頂けたら幸いです。
子供が親を選べないように、親も子供を選べない。生まれてくるのは天才か、努力家か、それとも生活能力のない夢想家か。
宮沢賢治はそのすべてだった。ありあまるほどの生活能力を持ち、家の将来に全責任を負わなければならない父・政次郎との共感。衝突。その向こうにあるものの輝き。
この世には、親子の数だけ銀河がある。私は今回の映画化をもっとも楽しみにしている者のひとりです。
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