「笑点」の人気者、林家たい平の生涯ベスト映画、最近感銘を受けた作品は?【あの人が見た名作・傑作】

2022年8月24日 17:00


林家たい平
林家たい平

映画を見に行こうと思い立ったとき、動画配信サービスで作品を鑑賞しようとしたとき、何を見れば良いのか分からなかったり、選択肢が多すぎて迷ってしまうことは誰にでもあるはずです。

映画.comで展開する新企画「あの人が見た名作・傑作」は、そんな皆さんの映画選びの一助として、映画業界、ドラマ業界で活躍する著名人がおすすめする名作、傑作をご紹介するものです。第11回は、人気演芸番組「笑点」のオレンジの着物でお馴染みで、8月26日より東京公開の「でくの空」で、自身3本目の主演を務める落語家・林家たい平師匠です。


【紹介してくれた人:林家たい平

1964年生まれ。88年に林家こん平に入門。92年に二ツ目に昇進すると、翌93年には北区若手落語家競演会優勝、NHK新人演芸コンクールでは優秀賞受賞を果たす。00年に7人抜きで真打に抜擢昇進。06年5月より人気演芸番組「笑点」のレギュラーとなり現在に至る。主な映画出演作は「おくれ咲き」、たい平自身が企画・主演・落語監修を務めた「もういちど」などがある。

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●「ライフ・イズ・ビューティフル」 世界中の人が見てくれたらいいのにな

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――たい平師匠にとって、生涯のベスト映画を教えてください。

林家たい平(以下たい平):「ライフ・イズ・ビューティフル」です。何度もDVDで見ていますし、子どもたちにも見て欲しいと思って何度も見てもらっています。今まさに侵略戦争が行われている中で、本当に何が大切なのか、「世界中の人が『ライフ・イズ・ビューティフル』を見てくれたらいいのにな」という思いがより強くなっています。

僕も笑いを皆さんに提供して、日々元気になってもらう仕事をしていますが、あんな状況でもずっと笑顔でいられるお父さんの凄さとか、子を思う親の気持ちとか、自分に果たしてあれができるかなとか、いつもいろいろな視点で見ています。毎回見るたびに自分の視点が変わって、見た時の気持ちが変わっていますので、50歳で見た時、55歳で見た時、60歳で見た時、両親が死んでから見た時、それが多分全部変わって見えてくると思います。

【「ライフ・イズ・ビューティフル」作品情報】
イタリアの俳優ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演を務め、強制収容所に送られたユダヤ人の父親が幼い息子を守るため意外な行動に出る姿を描いた感動作。1937年、トスカーナ地方の小さな町へやって来たユダヤ系イタリア人の陽気な男性グイドは、美しい小学校教師ドーラと運命的な出会いを果たす。いつも陽気で機転のきくグイドにドーラも心を奪われ、やがて2人は結婚。息子ジョズエも生まれ家族は幸せな日々を送るが、彼らが暮らす町にもユダヤ人迫害の魔の手が迫り、3人は強制収容所に連行されてしまう。グイドは幼いジョズエに悲惨な現実を悟られないよう、ひたすら陽気に振る舞いながら嘘をつき続けるが……。第71回アカデミー賞で主演男優賞、外国語映画賞、作曲賞を、第51回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。


●「トップガン マーヴェリック」自分のところにパンフレットを置いておきたいと思わせる映画

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――最近見たなかでは、どのような作品に感銘を受けましたか?

たい平:「トップガン マーヴェリック」です。流行っているから見に行ったのですが、流行っている理由もしっかりわかりましたし、「でくの空」と少しリンクしている部分がたくさんありました。親友の死ですとか、その肉親との確執、周りの人の支えでそれらを乗り越えてもう一度たくましくなっていくところなど、「でくの空」の島春迦監督が脚本書いたのかな、と思うくらい共通点がありました(笑)。

映画館を出る時、久しぶりに背筋を伸ばして大股で歩いて、何か誇らしげな気持ちになって、「ああ、生きていればいいことあるかも」と思える、すべてがスッキリする映画でしたね。

どこに行ってもパンフレットが売り切れになっていたのが凄いと思います。多分、見終わって買おうと思った人が凄くいっぱいいたのでしょうね。「トップガン マーヴェリック」を見た証として、自分のところにプログラムを置いておきたいと思わせる映画だったのだろうなと思います。

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【「トップガン マーヴェリック」作品情報】
トム・クルーズを一躍スターダムに押し上げた1986年公開の世界的ヒット作「トップガン」の続編。アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校トップガンに、伝説のパイロット、マーヴェリックが教官として帰ってきた。空の厳しさと美しさを誰よりも知る彼は、守ることの難しさと戦うことの厳しさを教えるが、訓練生たちはそんな彼の型破りな指導に戸惑い反発する。その中には、かつてマーヴェリックとの訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子ルースターの姿もあった。ルースターはマーヴェリックを恨み、彼と対峙するが……。観客にも高く評価され、興行収入110億円超の大ヒットを記録中(2022年8月16日時点)


●「でくの空」周介役は「まさに僕の一部。陰の部分に焦点を当てています」

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――「でくの空」についてもお聞かせください。本作は、島春迦監督が拠点とする埼玉県寄居町と、たい平師匠の故郷・秩父を舞台にした作品なんですね。

たい平:はい。島監督が映画の地産地消、という形を目指しておられて、その寄居町と、私が観光大使を務める秩父を中心に撮影しました。監督の前作「おくれ咲き」(18)でも主演をさせて頂き、その時にも結城美栄子さん、熊谷真実さん、池田愛さんと共演しています。監督は元々種子島のご出身なんですが、寄居に惚れ込んで移住されていて、監督が感じる町の美しさや魅力を観客に伝えたい、というのもこの映画の狙いの一つです。

――初主演作「もういちど」と同様、今回も大きな悲しみにとらわれた人間の再生という重いテーマを、シリアスな演技を通して表現されていますが、役柄は意識して選んでいるのでしょうか。

たい平:選ぶなんて、そんな大袈裟なものではないのですが、監督が私に何かを感じて声をかけて下さったと思っています。多分、僕の中にある明と暗の部分、だと思います。

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――暗とは「笑点」や高座では見せない部分、ということでしょうか。

たい平:そうです。この周介という役はまさに僕の一部なんです。普段が「明るいたい平」だとすると、この作品では僕の陰の部分に焦点を当てています。実は僕は、しくじった時に結構クヨクヨしたり、抜け出せずに悩むことが今もあるんです。そんな陰の部分を監督が引っ張り出してくれました。だから、演技で迷うことはあまりなかったです。


林家たい平主演作「でくの空」(8月26日公開)

埼玉県寄居町や秩父市を舞台に、部下を事故で亡くした男の心の再生を描いたヒューマンドラマ。電気工事店を営んでいた周介は、長年コンビを組んでいた従業員を工事中の事故で亡くしてしまったことから店をたたみ、父の元に身を寄せている。事故の真相を隠したまま、亡くなった従業員の母・冴月の世話を焼くが、冴月は周介になかなか心を開こうとしなかった。姉の活美が経営するよろず代行屋に拾われた周介は、助けを必要とする人びとと接する中で、自身も次第に立ち直りを見せていく。

でくの空」全国の上映館情報
https://eiga.com/movie/95375/theater/

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