「ミニオンズ フィーバー」は、どのくらいの大ヒットをするのか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2022年7月14日 06:00

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
7月18日(月)の「海の日」がある3連休を狙って洋画の期待作「ミニオンズ フィーバー」と邦画の期待作「キングダム2 遥かなる大地へ」が、7月15日(金)からの同日公開となります。
この2作品の勝負は、正直なところ、最終的にどちらが勝つかどうか見えにくい状況だと言えます。
そこで、今回は、10年以上にわたり成長をし続けている「怪盗グルー」シリーズの最新作「ミニオンズ フィーバー」について考えてみます。

まず、「ミニオンズ フィーバー」の原点となるのは、2010年に公開された「怪盗グルーの月泥棒」 です。
2010年当時、「怪盗グルーの月泥棒」を試写で初めて見た時は、「この新しいキャラクターは、世界はともかく、日本で流行るのかな?」と半信半疑でした。
ただ、笑福亭鶴瓶がコミカルに怪盗グルーの声優をこなしPRを頑張ったり、作品で登場する不思議なバナナ風なキャラクター「ミニオン」に興味を示す子供たちが増え、興行収入は12.0億円。
「ハリウッド発の新作アニメーション映画」としては、まずまずのヒットとなりました。
ここで注目すべきは、この作品を作ったのが、ユニバーサル・ピクチャーズ傘下のイルミネーション・エンターテインメント社(以下、イルミネーション)という新たな会社であったことです。
それまでは、ディズニー傘下のピクサーが世界のアニメーション映画では圧倒的な存在感を放っていましたが、対抗できるアニメーションスタジオがようやく生まれた瞬間でした。
この「怪盗グルーの月泥棒」は、制作費が6900万ドル(1ドル=100円とすると69億円)に対して、世界興行収入は5億4311万3985ドル(約543億円)という大ヒットを記録しているのです!
日本では2012年からイルミネーションとフジテレビが提携していて、「フジテレビ映画」の冒頭に現れるオープニングロゴに「ミニオン」が出てくるなど、ミニオンたちの存在は日本でどんどん浸透していきました。

そして、2013年に「怪盗グルーのミニオン危機一発」が公開され、興行収入25.0億円と倍増することになっています。
さらに注目すべきは、2015年。主役の怪盗グルーを差し置いて、脇役のミニオンたちが主役の映画「ミニオンズ」が作られるという状況まで生まれたのです!
しかも、この「ミニオンズ」が興行収入52.1億円と、さらに倍増する結果を叩き出しました。

このように、もはやミニオンというキャラクターの人気は圧倒的で、ハリウッドの超大作映画を使ったテーマパークであるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)でも大人気キャラクターとなっています。

2017年には「怪盗グルー」シリーズの3作目「怪盗グルーのミニオン大脱走」が公開され、日本では興行収入73.1億円と、さらに興行収入を伸ばし続けているのです!

この流れで、今週末の7月15日(金)から「ミニオンズ」シリーズの2作目「ミニオンズ フィーバー」が公開されます。
「ミニオンズ」シリーズの良さは、ミニオンたちが様々な言語が入り交じる「ミニオン語」で話し、独特な可愛らしい体系で、言動にユーモアがあふれているところ。この部分が、世代を超えて楽しめるポイントになっています。
本作の原題は「Minions: The Rise of Gru」となっていて、ミニオンたちの活躍を描きながらも、“怪盗グルーの誕生”も描いているのです。
具体的には、最初の映画「怪盗グルーの月泥棒」では、月を盗む、というのが前提になっていましたが、そもそもなぜグルーが月を盗むことになったのかが分かるようになっています。
そのため、本作単体でも十分に楽しめますが、「怪盗グルーの月泥棒」を見たことのある人だと、より楽しめるようにもなっているのです!


時は1970年代。ミニオンたちは11歳の少年グルーを「ミニボス」と呼び崇拝しています。
1970年代と言えば、ブルース・リー主演の映画「燃えよドラゴン」が公開され世界中が熱狂しました。それに呼応するように、本作では、ミニオンたちがカンフー・マスターに出会い、弟子入りを志願します。
そして、音楽も1970年代のポップ、ソウルなどの有名なヒット曲を現代のアーティストがカバーし、熱狂(フィーバー)を誘います。
「ノンストップ・アトラクションムービー」なので、1時間27分とは思えないほど、かなりテンポ良く凝縮された時間を楽しめます!
ちなみに、ミニオンたちは非常に多いのですが、徐々に名前が判明しています。
これまでは、よく見ると主に3体のキャラクターがメインとなっていて、市販されている玩具でもケビン、スチュアート、ボブの3体がセットのものが多くなっています。

本作では、この3体に加えて、オットーというミニオンが活躍します。
ボブとオットーは、まん丸で見分けにくいのですが、オットーの方は、歯の矯正をしている最中で“歯にワイヤーが付いている”ので判別しやすくなっているのです。
さて、ここからは肝心な興行収入について。
先行公開されているアメリカのスタート時の興行収入の推移は、前作「ミニオンズ」とほぼ変わらず。一方、評価は、前作と比べると批評家も一般層も大きく上昇しています。
そのため、口コミが広がり興行収入も伸びていきそうな雰囲気があります。
ちなみに、日本では、公開する順番で興行収入も伸び“右肩上がり”を続けているのですが、世界興行収入では、「ミニオンズ」が全シリーズ最高興収を記録しているのです!
【「怪盗グルーのミニオン大脱走」の世界興収10億3479万9409ドル(約1034億円)に対して、「ミニオンズ」は11億5939万8397ドル(約1159億円)とハイレベルな競争を制しています】

そこで、本作については、スピンオフの「ミニオンズ」シリーズで見ていくのが無難なのかもしれません。
「ミニオンズ」の1作目の興収は52.1億円なので、まずはこれが大きな目標となりそうです。
これまでのように前作を超え、さらには日本でシリーズ最高となる興収73.1億円にどこまで近付くことができるのか。それが次の注目点になりそうです。
援護射撃としては、フジテレビで7月17日(日)の19:00~20:54のゴールデンタイムに、“日本でシリーズ最高興収を記録”した「怪盗グルーのミニオン大脱走」が地上波初放送となります。
さらには、“翌日”7月18日(月)の19:00~20:54のゴールデンタイムに、“世界でシリーズ最高興収を記録”した「ミニオンズ」1作目がフジテレビで放送され、まさに「ミニオン祭り」となっているのです!


なお、ハリウッド映画のアニメーションにおいてはファミリー層でも楽しめるように吹替版の需要が非常に高く、多くの劇場では吹替版の上映になるようです。
吹替版では11歳の少年グルーの声優を笑福亭鶴瓶が演じることも注目です。さすがは芸達者な笑福亭鶴瓶だけあって、自然に演じられていました。
字幕版の方はスティーヴ・カレルがグルーの声優を演じていますが、こちらも上手く、字幕版での上映を見られる人は、聞き比べてみるのも面白いでしょう。
この夏、ミニオンたちが日本でどのくらいフィーバーして、日本の映画業界を盛り上げるのか注目したいと思います!
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