福本莉子、東宝シンデレラ応募当時に思い馳せる「あのとき一歩踏み出して良かった」
2022年7月9日 11:00
「東宝シンデレラ」オーディションが、東宝創立90周年プロジェクトとして6年ぶりに開催される。これまでに長澤まさみ、上白石萌音、上白石萌歌、浜辺美波らを輩出してきた同オーディションの第8回でグランプリを獲得した福本莉子に話を聞いた。(取材・文/大塚史貴)
福本の名が一躍、世に広まったのは2016年11月13日、都内の劇場で行われたグランプリ発表会でのこと。全国10都市で参加総数9508人全員の面接を実施した第8回にあって、8カ月以上にわたる長い選考を福本は勝ち抜いて頂点に立ったことになる。6年前に思いを馳せたとき、真っ先に思い浮かぶ光景はどのようなものなのだろうか。
福本:発表の瞬間は劇的でした。そのときはもちろん嬉しかったのですが、これからどうなっちゃうんだろう……という気持ちの方が大きかったです。右も左も分からない世界でしたから、不安で仕方なかったです。
応募は友人から勧められたことがきっかけだったというが、「自分の中で変わりたい、今の状況が嫌だなと思っていた時期でした。そういうタイミングで『受けてみたら?』と言われたんですよね。私の気持ちとしても何か新しいことに挑戦したかったし、人生一度きりだしな……という思いが重なって応募しました」と当時の心境を明かす。
受賞直後、報道陣による囲み取材で「選考中、家族に『頑張って』と言われたのが一番嬉しかったです」と語っているが、応募したことは家族に話していなかったという。
福本:1次審査、2次審査と通過することが出来て、その後に合宿審査があったんです。3連休を使った東京での合宿だから、どうしても親の許諾が必要で、そこで初めて言いました。父はこういう仕事に理解を示してくれましたが、母は不安そうでしたね。
応募期間を含めると、選考期間は実に8カ月以上。そのなかで、最も心が折れそうになったことを聞いてみた。
福本:合宿審査です! 土曜日から月曜日までの連休を使って行われたのですが、土曜日は学校があったので、授業が終わった後に大阪から上京しました。他の参加者よりも遅れてのスタートだったので、「とにかくやらなきゃ!」と焦っていましたね。
審査は、ダンスとお芝居。1グループ5人くらいで行うというので、夜は開放されていたレッスン場でひたすら練習していました。ホテルに帰ってからも練習しましたし、何もかもが初めての経験だったので、すごく大変でした。あと、関係者の大人にずっと見られている状態だったので、意識しないでおこうと思っても、すごく疲れるんですよね。レッスン場が鏡張りだったこともあって、すごく気疲れしました(笑)。
東宝芸能所属となってからは、同オーディションを経験している先輩陣の背中を追いかけるところからキャリアをスタートさせることになる。多ジャンルで活躍する先輩たちの姿から何を学んだのかを聞いてみると、真摯な面持ちで語り出した。
福本:初めの頃は先輩が出ている作品に出演させていただく事も含め、先輩と一緒にお仕事をする機会が多かったです。現場での佇まい、年長者に対する接し方を見ることが出来て、勉強になりましたね。
コメントを求められた際の対応も、当時は何も答えられなくて戸惑いました。受賞後すぐのタイミングで、斉藤由貴さんと「NHK高校講座」という番組をご一緒させていただいたのですが、コメントがうまく出て来なかったんです。
そんなときに、斉藤さんが「そんなに難しい事を考えなくて大丈夫。思ったことを言ったらいいんだよ。そんなに難しい答えを求めているわけじゃないから」とおっしゃってくださって。それから気楽に答えられるようになりましたね。先輩の姿を見て学ぶ機会は今でも多々ありますし、先輩の仕事を受け継ぐことも多いですから、自分なりに精一杯頑張る! という意識はすごくありますね。
今回の応募締め切りは、7月18日。福本がそうだったように、周囲の後押しが人生の大きな転機となる可能性だってある。オーディションを実際に経験した福本だからこそ、伝えられるメッセージがあるのではないか。応募することを迷っている人に対し、どのような事を伝えたいだろうか。
福本:私はもともとテレビっ子でしたし、連ドラも毎日のように見ていたので芸能界に対して憧れはありましたが、なんとなく興味がある程度で具体的な事は何も考えていませんでした。自分を変えたい、変わりたいというタイミングと合致して応募しましたが、当時の自分にとってはすごく勇気のいる事でした。
不安はもちろんありましたが、やり始めてみたらすごく楽しい。その分、大変なことも多いですが、この仕事でしか経験出来ない事がたくさんありますから、あのとき一歩踏み出して良かったなって私は思える。ちょっとでも興味があるのなら、一歩踏み出してもらえたら良い経験になると思います。結果がどうであれ、そのときに頑張ったことって、自分の自信にも繋がりますから。迷っている方は、ぜひ応募してみてください。
なお今回は、東宝シンデレラに加えて、1946年から60年代後半にかけて俳優発掘のためのオーディションとして開催されていた「東宝ニューフェイス」の歴史あるタイトルを引き継ぎ、男性オーディションとして表記を改めた「TOHO NEW FACE」も始動する。
応募資格は、満10歳から満22歳まで(7月18日時点)の女性、男性。公式サイト(https://cinderella-newface.toho.co.jp/)内の応募フォームから、ウェブ書類と3分程度の自己PR動画の提出が、1次審査へのエントリーとなる。7月の1次審査を経て、8月から全国6都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡)で2次審査を実施。3次審査は9月に東京と大阪で実施し、10月に“シンデレラ”と“NEW FACE”の2グループに分かれて、4次審査となる合宿審査を都内で行うという。そして、最終審査となるのは11月6日。都内でグランプリと受賞者の発表会開催が決定している。
賞金は、東宝シンデレラとTOHO NEW FACEのグランプリに各300万円が贈られる。さらに、ミュージカルでの活躍が期待される人材を選出するミュージカル賞が設けられ、各1名に100万円が贈られるという。応募は、7月18日まで。
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