【ネタバレ解説】「トイ・ストーリー4」結末・ラストの意味は? 賛否両論も…監督が込めた“思い”
2022年6月24日 21:05
ディズニー/ピクサーによる人気シリーズの第4作にして完結編「トイ・ストーリー4」。2022年6月24日午後9時に、日本テレビ系「金曜ロードショー」でテレビ初放送されます。
第92回アカデミー賞の長編アニメーション賞に輝き、世界中で大ヒットを記録した今作。ですが、監督のジョシュ・クーリーはさまざまな人から「(3作目で終わらず)なぜ4作目をつくる? 僕の子ども時代を台無しにするな!」など、ずいぶん疑問を呈されたとのこと。
実は日本での劇場公開時には、クライマックス(特にラストシーン)をめぐって賛否両論が巻き起こりました。では、結末にはどんなメッセージが込められているのでしょうか? クーリー監督のインタビューなどをもとに解説していきましょう。
新しい持ち主であるボニーとともに遊ぶ日々を過ごすウッディやバズたち。しかし、かつては遊びの中心にいたウッディは、今ではクローゼットにしまわれたまま……。
そんなある日、ボニーが幼稚園で、先割れスプーンやモールを材料としたおもちゃの「フォーキー」を作り、家に持ち帰る。瞬く間にフォーキーが一番のお気に入りのおもちゃに。しかし、フォーキー自身は「自分はおもちゃじゃなくてゴミ」と思い、ゴミ箱に飛び込んでしまう。
何とかフォーキーを止めようとするウッディだったが、旅行中の車からフォーキーが飛び出してしまう。ウッディは彼を連れ戻すために自身も車から飛び出すが、道中にあったアンティークショップで、かつての仲間ボー・ピープのランプを発見する。
一方、なかなか戻ってこないウッディとフォーキーを心配したバズたちも、ふたりの捜索に乗り出す……。
ウッディとボーは悪戦苦闘のすえに、フォーキーをボニーのもとへ返すことに成功。フォーキーから情報を聞きつけたバズたちは、移動遊園地へウッディを助けにくる(とんでもない方法で)。
ウッディはボニーのところに戻らなければいけない。ボーはここに残る……。
「またあなたに会えてよかった」「さよなら ボー」
ふたりはメリーゴーラウンドの屋根で抱き合い、別れを惜しむ。
ウッディは日よけを歩き、“相棒”であるバズのもとへ向かう。振り返ると、愛するボーが身を乗り出しているのが見えた。バズと会話するウッディ。顔を見れば、お互い何を考えているかわかる……。ボニーを心配するウッディに、バズは語りかける。
「ボニーは大丈夫だ 内なる声を聞け」
ウッディは来た道を引き返し、走り、ボーとドラマチックに抱擁を交わす。ランディ・ニューマンが作曲したBGMと、背景にぼやける観覧車のライトが美しい。来てくれた仲間たちひとりひとりの顔を眺め、ジェシーに保安官バッジを渡す。
そして、大親友バズと別れのハグを交わす。ウッディとボーはメリーゴーラウンドの突端に登り、バズたちを見送る。バズは遠ざかる遊園地を眺めながら、ウッディは仲間たちを思いながら、声をあわせてこうつぶやく。
バズ「無限の彼方へ」「さあ行くぞ」ウッディ
第92回アカデミー賞の長編アニメーション賞に輝いた「トイ・ストーリー4」。前作「トイ・ストーリー3」が「映画史上に残る最高の結末」と絶賛されただけに、今作「4」には「3で完結しておくべきだったのでは?」など、やや厳しめの声が飛び交っていることも確かです。
4作目が製作された理由を、ジョシュ・クーリー監督は「まだ語るべきストーリーが残っていたから」としています。
クーリー監督「3作目でウッディとアンディの物語は終わった。でもウッディ自身の物語は終わっていなかった」(「トイ・ストーリー4」音声解説から抜粋/ディズニープラスで配信中)。
この言葉はとても重要です。ピクサーが生み出した“ウッディ”というキャラクターが、半ば製作者の手から離れ、独立したひとつの人格を持つまでに成長した、ということを暗に示しているからです。
ではウッディ自身の物語とは、具体的に何なのでしょうか? ラストシーン、ウッディはボーとともに生きるという衝撃の決断を下します。
今作への賛否両論は主にここに集中しています。それまで持ち主の子どもを一番に思っていたウッディが、今の持ち主であるボニーではなくボーを選んだ(喜びも悲しみも共有したバズたちと別れてまで!)ことに、観客から疑問の声があがりました。
監督のジョシュ・クーリーは、今作の音声解説でこんなことを語っています。「おもちゃは自分たちの人生をコントロールできない」としたうえで、「子どものために生きてきたウッディが、やっと自分のために何かするときがきたんだ」と。
特に近年のディズニー/ピクサーは、“こうあるべき”という固定観念にとらわれない“多様性”がテーマの作品を多く創出しています。子どものために生きることは大事だけれど、自分のために生きることも大事。ウッディの決断はつまり、「自分らしい生き方」を探すすべての人々を肯定しているのでしょう。
さらに言えば、ウッディと、子育てに区切りがついた親たちの姿も重なって見える……。そのように解釈すると、この結末がより味わい深くなっていきます。
また、バズが「ボニーは大丈夫だ 内なる声を聞け」と、ウッディの背中を押していることも重要です。バズや仲間たちの表情は、別れを惜しみながらも、ウッディのこれからの“無限の彼方へゆく”冒険を応援しているようでもあります。
クーリー監督「ウッディがバズの許可なしにボーのもとに残ることはありえない。ウッディは子どもに対して忠実だ。ボニーと自分の友人たちが『それでいい』から、残るんだ」(「トイ・ストーリー4」音声解説より)
親友だからこそ、自分たちとの別れを選ぶことを応援してあげたい。クライマックスには、バズたちの優しさ、ウッディと長い間育んできた信頼と友情と絆のすべてが詰まっているのかもしれません。
とはいえクーリー監督は、映画.comのインタビュー時に、やはり“勇気が必要だった”とも示唆していました。
「正直、最初は『こんな結末にしちゃって大丈夫かな?』と思った。でも議論を重ねるうちに、『これはやらないといけない』という結論に至った。ウッディの進化にとって、必要な結末になったと思う」
「製作がスタートした段階では、違う結末が準備されていた。ただ、当初のアイデアは、小さなアドベンチャーの延長という感じで、感情的な意味で物足りなかった。『トイ・ストーリー3』がすばらしい結末だったからこそ、本作をつくる理由と価値を見いだせる“重み”が必要だと感じたんだ」
ちなみに、ディズニープラスで配信されている「トイ・ストーリー4」音声解説では、クーリー監督と製作のマーク・ニールセンがさまざまなことを語っています。
ラストシーンを描ききった時、スタッフたちがどんな気分だったのか。最後のセリフ「無限の彼方へ さあ行くぞ」を、25年以上演じてきたトム・ハンクス(ウッディ役)とティム・アレン(バズ役)は、アフレコ時にどんな気持ちで演技したのかなどなど。興味がある方は、ぜひのぞいてみてください。
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