今作は、4月から放送が始まっている月9ドラマ「元彼の遺言状」の原作者である新川帆立氏が、「小説現代」(講談社刊)で連載し、5月9日に発売されたばかりの同名最新刊をドラマ化するもの。同じ原作者の作品を、2クール連続で放送することは同局史上、過去に例のないケースとなる。
坂口が演じる天才で理屈っぽくひねくれ者の小勝負勉(こしょうぶ・つとむ)と、杏 扮する実直で感情のままに行動する元刑事の白熊楓(しろくま・かえで)が、公正取引委員会・第六審査(通称“ダイロク”)の職員として、独占禁止法に関わる違反行為を取り締まり、経済活動における自由で公正な競争の場を守るために目を光らせる「競争の番人」として、談合やカルテルなど不正を働く企業の隠された事実を炙り出していく姿を描く。ドラマでは実際に公正取引委員会で撮影を行うなど、同委員会全面協力のもと、リアリティ溢れる作品に仕上げていくという。
(C)新川帆立/講談社 第1話は、刑事としてある事件の犯人を追う白熊(杏 )が、犯人を目前で取り逃がしてしまうところから始まる。白熊はこのことを問題視され、公正取引委員会への異動を命じられる。突然のことに動揺したまま、公正取引委員会・第六審査へと赴いた白熊。そこで、小勝負(坂口)ら、第六審査・通称“ダイロク”の面々と出会う。右も左も分からない場所へやってきた白熊の教育係を任せられた小勝負だが、手取り足取り仕事を教える気など一切ない様子。そんな中で、2人が調査することになったのは、複数のホテルで行われているウエディング費用のカルテル問題。自由奔放に行動する小勝負と、刑事と公取委の世間の認知度や扱いの違いに苦しむ白熊。そんな2人は、なぜか調査中に警察に追われる立場に……。
主演の坂口と杏 、原作・新川氏のコメント全文は、以下の通り。
--月9ドラマ初主演を務めることについて
「僕は月9というと、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)以来の出演になります。フジテレビ制作の作品も久しぶりですね。身が引き締まるというのはどの作品も同じなのですが、“月9枠で
杏 さんとW主演”というのは、もう一段上の気合が入った感じがします。今回、公正取引委員会の話だと伺った時は、正直良くわかりませんでした。もちろん、公正取引委員会という名前を聞いたことはありますが、弁護士ものや警察ものとは違いそうですし…。一体、どういう話になるんだろう? と思いましたが、台本をいただいて一読したら、ものすごく面白い話だったので、楽しく撮影に臨めそうだなと思いました」
--小勝負を演じて、意識されているところは?
「ストーリーの中で“悪”となる人物がいるんです。小勝負がそんな悪と対峙する時、そんな悪によって救われている人もいることも考えてしまうんです。ですので、小勝負としては100%の正義でポジショントークをしてはいけないと、どこかで思っています。そういったシーンを演じるのはすごく難しいですね。小勝負のパーソナリティーについては、全てが明らかになっていません。小勝負は、過去に何か深いものを抱えていそうなんです。それが何かわかるまでは捉えどころのない人物でいようと思っていますし、さりげなくポンッと放った言葉が相手に効くような存在になれたら良いですね」
「小勝負は、
杏 さんが演じる白熊と一緒に行動することがすごく多いんですが、小勝負と白熊としての僕と
杏 さんの空気感は自然と出来上がっていきました。小勝負が所属するダイロク(公正取引委員会 審査局 第六審査)のみなさんとお芝居をするときは、そんな小勝負と白熊の雰囲気が一緒にいるみなさんにも伝わっているからか、現場の空気感がすごく心地良いです。現場の空気感は、どうしても作品に出てくると思いますので、心地良い空気感のある作品になっているんだろうなと思いますね」
--視聴者へのメッセージ
「このドラマで描かれる公正取引委員会というのは、 “弱小官庁”なんです。僕自身、時には“戦わずに負けても良い”と思うことがあります。そんな中で、小勝負の“弱くても、戦わなきゃいけない”というセリフが僕は好きなんです。まだまだうっ屈とした世の中で、小勝負、白熊、そしてダイロクメンバーといろいろな人物が登場しますが、彼らがやっていることを見て、次の日のちょっとした活力やパワーにしていただけたらと思いますし、そんな作品になるのではないかなと思っています」
--7年ぶりの月9ドラマ出演および主演について
「フジテレビのスタジオに帰ってくるのも本当に7年ぶりでしたので、社会情勢もこの7年でガラッと変わった中で、また月9というエンターテインメントをみなさまに届ける枠に戻ってくることができたのはすごくうれしいし、演じる意義みたいなものを感じています」
--台本を読んでの感想
「公正取引委員会という組織には馴染みがありませんし、セリフの専門用語も口にしたことがなさすぎて、難しいんです。でも、白熊として演じていると、実は私たちの身近な世界を扱っていることがわかってきました。私たちが普段触れる商品が、いろいろな競争を経て価格が決められて世に出されているんだということですね。企業間の正当な競争がないと、資本主義世界は回っていきません。そんな“競争の番人”、不正が起きないように審判として目を配る方として公正取引委員会があるということは新鮮でした。一方で、弱小官庁で…というエピソードもあるのが面白いですよね(笑)。実際に公正取引委員会の方に監修に入っていただいていますので、リアリティーがありつつ楽しい作品になっていると思います」
--白熊を演じて、意識されているところは?
「まずは、新しいことを始めるのに、今までにお見せしてきた私へのイメージを一度なくして、新しい役として見ていただくために髪をカットしました。白熊はもともと警察官だったのですが、いろいろとあって公正取引委員会に飛ばされた人物です。ですので、最初は不本意な気持ちでいますし、“なんなのここ?”という感じは、視聴者のみなさんと同じ目線で、寄り添いながら物語を進めていく存在になると思います。最初のうちは白熊は戸惑ったり、疑問を感じたりしています。ストーリーがどんどん進むにつれて、白熊が公正取引委員会で働く意義を見出していきます。社会人としてある程度経験を積んだ上で、まるっきり違う職場に移る白熊ですが、そんな白熊のように30代半ばで転職される方も多いと思うので、まるっきり違う環境で仕事を始めるという白熊の気持ちは、多くの方々に寄り添っていただけて、応援していただけるのではないかなと思います」
--坂口さんとの共演について
「映画での共演はありましたが、タッグを組むようなお芝居をするという意味では初めてです。小勝負と白熊の関係も自分たちとかけ離れたイメージを持ち込むことなく、自然な感じで出来ていますし、年齢も近いので、考え方などにギャップを感じることもなく、一緒に演じるのは楽しいですね」
--視聴者へのメッセージ
「この作品をきっかけに公正取引委員会の歴史はまだそんなに古くないことを知りました。商売の歴史はずっと続いているのですが、そこに“競争を守る”という概念を取り入れたのは戦後からということなんです。今の生活で販売されている水は何百、何千種類とあり、デザインなど全てが競争の中で取り扱われているんだと知って、スーパーに買い物に行った時のちょっとした目線が変わった気がします。そんな競争をジャッジするのが小勝負や白熊なのですが、その中でいろいろな人の人生と社会が混ざり合っていく様子が、上手く表現されていると思うのでワクワクしています。このワクワク感をみなさんにも味わっていただけたらと思います」
■原作・新川帆立
--ドラマ化決定を受けて
「原作は“令和版『
HERO 』”のイメージで、『Can You Keep A Secret?』を聴きながら書いたため、月9ドラマ化が実現してとてもうれしいです。公正な競争は社会にとって非常に重要なインフラです。競争を守り支える公正取引委員会の取り組みが、より広く知られるきっかけになればいいなと思います。主人公の2人はそれぞれに異なる想いを抱え、ときに衝突しながらも、悪に立ち向かいます。
坂口健太郎 さん、
杏 さんがどのようなコンビとして活躍してくれるか楽しみにしています」