“イーモウ・ガール”リウ・ハオツンの撮影初日に密着! チャン・イーモウが大抜てきした注目の逸材
2022年5月14日 10:00
“イーモウ・ガール”という呼称をご存知だろうか。中国の巨匠チャン・イーモウ監督は、作品ごとに才能の秀でた新人女優を発掘することで知られており、抜てきされた者は“イーモウ・ガール”と呼ばれているのだ。歴代には「紅いコーリャン」のコン・リー、「初恋のきた道」のチャン・ツィイーなどがおり、全員がデビュー作で才能を発揮。その後、第一線で活躍する実力派女優へと成長している。
そして、チャン監督の新作「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」でも、新たな“イーモウ・ガール”が誕生した。チャン監督が数千人もの高校生の中から見出したのが、リウ・ハオツンだ。同作で映画初出演を果たし、ヒロインである孤児の少女を演じている。
映画.comは、リウの撮影初日に密着した貴重なメイキング映像を入手した。
「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」は、チャン監督が長年映画化を熱望していた企画。圧倒的な映像美のもとノスタルジックで普遍的な物語が紡がれる。舞台は、文化大革命時代の中国。フィルムの中にたった1秒だけ映されているという娘の姿を追い求める父親。幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとする孤独な少女。交わるはずのなかったふたりが激動の時代の中で運命的に出会い、思いがけない方向へと人生が進んでいくさまを描く。
チャン監督がヒロインを選ぶ条件は「独特の雰囲気があること」「強い目力」「女優として、まっさらな状態であること」。そのすべての条件をクリアした逸材が、リウであると語っている。
チャン監督「演技の経験はまったくありませんでしたが、その後2年以上にもわたる演技レッスンを経て、演技の基礎を良く学び、その年の新人賞を獲得した」
本作で鮮烈なデビューを飾ったリウは、第15回アジア・フィルム・アワードで最優秀新人俳優賞を獲得。その後、チャン監督の次回作「CLIFF WALKERS(英題)」でもチャン・イーとともに主演に抜てきされている。同作は、2021年の中国映画興収ランキング10位に入る大ヒットを記録。リウは、一躍次世代スターに躍り出た。
メイキング映像では、クランクインを迎えたリウが役作りのため、長かった髪をバッサリとカットするシーンからスタート。短くなった髪の自分を見たリウは、オーディション合格、長く苦しかった練習期間を経て、ついに撮影に入ることを実感したのだろうか――思わず涙をみせている。
衣装に着替えたリウを見たチャン監督は「今日からクランクアップまで、ずっとその服で。体になじませる。10日もすれば、きっと動作まで身につく。生きた人物になる」と心構えを熱く伝える。女優としての第一歩を踏み出すリウにとっては、ずっと心に残る言葉になっただろう。続いて、少女がフィルム缶を盗むというファーストシーンの撮影風景を活写。チャン監督が実際に動作をみせながら演出を行っている。「まっすぐ歩かずもっとふらふらと。不良みたいにダラダラ歩くんだ」と説明するチャン監督。リウも手でOKマークを作り、笑顔で答えるなど少しずつ現場に慣れていく様子が確認できる。
「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」は、5月20日からTOHOシネマズシャンテほか全国公開。なお、2000年生まれのリウは、日本公開日である5月20日が誕生日で23歳になる。
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