“わたしたち”の戦争は終わっていない――話題の証言集が原案「戦争と女の顔」予告完成
2022年5月6日 15:00
第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞、国際批評家連盟賞を受賞し、第92回アカデミー賞国際長編映画賞のロシア代表に選出された「戦争と女の顔」の日本版予告とポスタービジュアル、場面写真がお披露目された。
原案は、日本でも話題となった証言集「戦争は女の顔をしていない」(著:スベトラーナ・アレクシエービチ)。監督は、アレクサンドル・ソクーロフの下で学んだ新鋭カンテミール・バラーゴフ。プロデューサーは「ラブレス」「裁かれるは善人のみ」をはじめ、ハリウッドでも実績のあるアレクサンドル・ロドニャンスキーが務めている。
1945年、終戦直後のレニングラード(現サンクトペテルブルグ)。荒廃した街の病院で、PTSDを抱えながら働く看護師のイーヤ(ビクトリア・ミロシニチェンコ)は、ある日後遺症の発作のせいで、面倒をみていた子どもを死なせてしまう。そこに子どもの本当の母で戦友のマーシャ(バシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還。彼女もまた後遺症を抱え、心身ともにボロボロの2人の元女性兵士は、なんとか自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望を見出す。
予告編は、終戦直後のレニングラードを舞台に、PTSDを抱えた元女性兵士の二人の女性イーヤとマーシャが、厳しい環境下でお互いを支えながら生きていく様子を活写。やがて「暴力的!」(Variety)、「痛ましく、美しい!」(IndieWire)、「傑出した演出!」(The New York Times)、「心揺さぶる問題作!」(The Guardian)と各誌のレビューが続く。また、ラストに挿入される「戦争より悪は存在しない。」というバラーゴフ監督のコメントが印象深い。
ポスターでは、誰かの手で口元を塞がれているイーヤを切りとったカットを使用。「“わたしたち”の戦争は終わっていない――。」というコピーが添えられている。
「戦争と女の顔」は、7月15日から新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。