北欧の巨匠ゆかりの島で描かれる映画監督カップルの愛と苦悩「ベルイマン島にて」ミア・ハンセン=ラブ監督に聞く
2022年4月22日 16:00

2021年の第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品で、ミア・ハンセン=ラブ監督が、スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンが数々の傑作を生んだ島を舞台に描く、映画監督のカップルが織りなすひと夏の物語「ベルイマン島にて」が公開された。「ファントム・スレッド」のビッキー・クリープスと「海の上のピアニスト」のティム・ロスが主人公カップルを演じ、ミア・ワシコウスカ、アンデルシュ・ダニエルセン・リーらが共演する。ハンセン=ラブ監督が日本での公開に合わせ、インタビューに応じた。

いえ、実は今回の撮影は大きく2つに分けていて、2019年は劇中劇だけを撮って、ある時はビッキー・クリープス1人だけで撮影していました。その時にはまだ、ビッキーは夫の役は誰がやるかわからない状態で、その後ティム・ロスが参加して。順撮りではありませんでしたが、フォーレ島に行って、自分が映画制作に集中できたこと、映画を作りながら段々と自分の作品が充実していくのを見られたというのが、すごく嬉しかったですし、面白い経験でした。
実はこの映画を撮り始めたときは、♯Meetoo運動が起こってなかったので、逆に始まってからだと、あのような映画は撮りにくかった、書けなかったかもしれないというのはあります。
私自身はベルイマン監督が大好きですが、私生活で子どもの面倒をみなかったからといって彼の映画が嫌いになるわけではなくて、やはり私生活は私生活で映画が好きなことには影響はありません。ただ、自分自身としてやはり性的な不平等はなくしたいという思いはあります。一人の母親として、監督として、女性としてジェンダーバイアスのハンディキャップをいかにエネルギーに、力に変換していくかというのが私の取り組みです。

実際にはコロナでフォーレ島にまた戻ることはできなかったのですが、またぜひ行きたいと思っています。フォーレ島には4~5年ほど住んでいましたし、自分の家という感じもするので行きたいです。地元の方の反応なんですけど、伺ったところでは全体的に住民の方の反応は良かったという風に聞いています。映画の中に出てきた女性の方が手紙を下さって、お礼の印に自分で編んだ靴下をくれました。
日本には2度行ったことがあります。1度目はちょうど上の子が生まれたばかりで、今は11歳になりました。まだ母乳で育てていた時だったので、やはり子と離れることがものすごく辛く、でも楽しい思いでもたくさんあります。いつかぜひ娘たちを日本に連れていきたいと思っています。そして、女性でも男性でも、誰にでも、できるだけ多くの人に私の作品を見てほしいです。
(C)2020 CG Cinema - Neue Bioskop Film - Scope Pictures - Plattform Produktion - Arte France Cinema
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