【アニメハック編集部お勧め】冬の新作アニメ「平家物語」「明日ちゃんのセーラー服」「地球外少年少女」など4選
2022年2月1日 15:00
2022年1月クールの冬アニメは、配信オンリーの作品もふくめて51本(編集部調べ)。ほぼすべての作品の序盤を鑑賞したうえで、アニメハック編集部がお勧めする4作品をご紹介します。
▽注目スタッフが古典をアニメ化「平家物語」 人気声優陣の好演にも注目
「けいおん!」「映画 聲の形」の山田尚子監督とサイエンスSARUが、古典「平家物語」(訳:古川日出男)のアニメ化に挑む注目作。キャラクター原案を「ドミトリーともきんす」で知られる漫画家の高野文子氏が手がけているのも注目ポイントです。
未来が見える目をもつ琵琶法師の少女びわをとおして、栄華をきわめた平家一族が滅びていく激動の時代が描かれる本作は、平面的なキャラクターが映える凝った絵作りが大きな見どころ。実力派の人気声優陣による豊かな芝居も素晴らしく、びわ役の悠木碧をはじめ、玄田哲章、櫻井孝宏、早見沙織、千葉繁、井上喜久子、入野自由、小林由美子、岡本信彦、花江夏樹、村瀬歩ら多くのキャストが出演しています。
NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とほぼ同じ時代が舞台で、平清盛ら両作品に共通する登場人物もあり、合わせて見ると歴史のさまざまな描かれ方を感じることができるでしょう。
▽フェティシズム描写を交えて女子中学生の青春の日々を描く「明日ちゃんのセーラー服」
「となりのヤングジャンプ」で連載中の博氏による漫画を、CloverWorksと黒木美幸監督が手がける青春ストーリー。田舎の名門女子中学校を舞台に“明日(あけび)ちゃん”こと明日小路をめぐる女の子たちの学園ライフが、瑞々(みずみず)しく描かれます。
天真爛漫な明日たちのさりげない仕草を丁寧にすくいあげながら、ときに破壊力満点のフェティシズム描写で、彼女たちの青春の日々が鮮やかに切りとられているのは圧巻です。「オッドタクシー」で三矢ユキ役を演じ、本作がテレビアニメ初主演となる村上まなつが明日役を演じています。
▽新海誠作品スタッフも参加する中国発のSFサスペンス「時光代理人 -LINK CLICK-」
コミックス・ウェーブ・フィルムが参加した日中合作劇場アニメ「詩季織々」(2018)の李豪凌(リ・ハオラン)が監督・脚本、韓国の人気イラストレーター・INPLICKがキャラクターデザイン原案を手がける中国アニメ。新海誠作品の常連スタッフが参加し、美術監督を「君の名は。」の丹治匠、音楽を「秒速5センチメートル」の天門が務めているのも話題です。
依頼人から預かった写真に“ダイブ”して任務を遂行する男性コンビの活躍が1話完結で描かれ、ダイブ中に過去の改変をしてはならないというルールが破られることで徐々に大きな物語が動いていきます。日本語版では豊永利行、櫻井孝宏、古賀葵らが吹き替えを担当し、日本アニメとほとんど変わらない感覚で楽しむことができます。スタイリッシュな日本語版オープニングも必見です。
▽「電脳コイル」の磯光雄監督が描く新しい宇宙像「地球外少年少女」
「電脳コイル」を手がけた磯光雄監督が15年ぶりに放つオリジナルシリーズ。1月28日からNetflixにて全6話が配信中で、劇場上映版の前編も全国10館で上映されています。
誰もが宇宙に行けるようになった2045年が舞台。月生まれの子どもたちと地球から宇宙旅行へやってきた子どもたちが、日本の民間宇宙ステーション「あんしん」でおきた事故に立ち向かいます。
配信・上映前に、オンライン試写で拝見しました。「電脳コイル」で大きな魅力だった奇想とユーモアはそのまま、磯監督ならではの新しい宇宙像が描かれていて本当に楽しめました。上映劇場のお近くの方はぜひスクリーンで、難しい方はこのためにNetflixに加入しても損がないと言いたいぐらい、個人的に一押しの作品です。映画.comとアニメハックで、磯監督とキャラクターデザインを担った吉田健一さん、おふたりのインタビューを掲載中ですので、ぜひご一読ください。
■磯光雄と吉田健一の宇宙の旅(前編) 魅力がないと思われているものを魅力的なものに化けさせる
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父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。