「ノッティングヒルの恋人」ロジャー・ミッシェル監督は「人を本当に大事にする」 長編遺作のプロデューサーがトリビュート
2022年1月31日 12:00

ロンドンのナショナル・ギャラリーで実際に起きた絵画盗難事件の知られざる真相を描く「ゴヤの名画と優しい泥棒」。「ノッティングヒルの恋人」「恋とニュースのつくり方」などを手がけ、昨年9月に死去したロジャー・ミッシェル監督の長編遺作となり、プロデューサーのニッキー・ベンサムからミッシェル監督へ向けたトリビュートコメントが披露された。

本作は、名優ジム・ブロードベントとヘレン・ミレンが共演する。1961年、ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン(ブロードベント)。孤独な高齢者が、テレビに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相があった。

昨年9月、65歳という若さで逝去したミッシェル監督は、ジュリア・ロバーツとヒュー・グラント共演の「ノッティングヒルの恋人」が大ヒットし、その後も「Jの悲劇」「私が愛した大統領」「ウィークエンドはパリで」「ブラックバード 家族が家族であるうちに」などを手掛けている。テンポの良いウェルメイドな作風は本作でも健在で、人と人との温かい触れ合いを描き、鑑賞後には心を爽やかな気持ちに包み込む感動作を作り上げた。
今回届いたコメントで、ベンサムは「わが子のように育ててきたこのプロジェクトを、私と同じように愛して大切にする監督を見つけることは大変だろうなと思った。でも、ロジャーはまさにその通りの監督だった」と回顧。ミッシェル監督の手腕についても称えているほか、「彼のデリケートに込められた思いは、『ゴヤの名画と優しい泥棒』の全てのフレームにしっかりと刻印されている。ロジャーが楽しんでこの映画を作ったのと同じくらいに、観客のみなさんにもこの映画を楽しんで見てほしいと思う」と締めくくられている。
ロジャー・ミッシェルの急逝は、彼を知っていた私たちにとって、そして彼の映画を楽しんだ世界中の何百万人の人たちにとって、とてつもなく大きな喪失である。
最後の作品となってしまった「ゴヤの名画と優しい泥棒」で、彼と一緒に仕事をすることができたなんて、なんて幸運なことだろう。
私は、本作の主人公ケンプトン・バントンの実際のファミリーと交流を深め、何年もかけて製作会社のパテと脚本を練ってきた。わが子のように育ててきたこのプロジェクトを、私と同じように愛して大切にする監督を見つけることは大変だろうなと思った。でも、ロジャーはまさにその通りの監督だった。
ロジャーの映画の作り方は、まず物語が最優先、そこにエゴや派手さなんて要らない。彼は、人を本当に大事にする、そしてその人たちに純粋な興味と好奇心で、真剣に理解しようとする。だから、彼はあんなに想像力豊かで感情を高ぶらせる物語を語れるのであり、情感溢れるのにセンチメンタル過ぎない演技を俳優たちから引き出せるのだ。
初めて会った日、彼は私のキャリア、家族、そしてお気に入りの映画について訊いた。彼のテストに合格したらしい私に、「それで、僕に関して訊きたいことは?」と彼。ロジャーは、とにかくまっすぐでオープンな人だ。キャストとスタッフは、彼からは絶対に正直な意見がもらえることを知っている、回りくどい答えで彼らの時間を無駄になんてしないのだ。
彼のデリケートに込められた思いは、『ゴヤの名画と優しい泥棒』の全てのフレームにしっかりと刻印されている。ロジャーが楽しんでこの映画を作ったのと同じくらいに、観客のみなさんにもこの映画を楽しんで見てほしいと思う。
「ゴヤの名画と優しい泥棒」は2月25日から公開。
(C)PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020
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