豊川悦司、盟友・阪本順治監督の新境地となる新作に「タイトルを3度くらい聞き直した」
2021年12月14日 14:21

さまざまな視点から人間を描き続けてきた阪本順治監督の完全オリジナル脚本を映画化した「弟とアンドロイドと僕」の完成報告イベントが12月14日、六本木のキノフィルムズ試写室で行われ、豊川悦司、安藤政信、そして阪本監督が出席した。
監督として円熟期を迎えた阪本監督が、自身の内面に向き合い「これを撮らなければ自分は先に進めない」という覚悟で取り組んだ本作。自分そっくりな「もうひとりの僕」のアンドロイド開発に没頭していたロボット工学者・桐生薫を主人公に、“究極の孤独”を描いた問題作だ。会場にやってきた豊川は「この映画は2年くらい前に撮影していて、コロナのために公開には至らなかったんです。なのでようやく皆さんの目に触れることができてうれしいですが、内心ドキドキしています」とあいさつ。阪本監督も「自分の私小説的な映画ですが、逆に自分を理解していないところもあって。それで俳優陣を惑わしたりしたなと思っておりますが、それから2年たって、偶然ですがこの映画を作った時の皆さんの反響というものが、僕らが予想もしなかったものに変わっていくんじゃないかなと思っています」と期待を込めた。
脚本を書く前から本作の主人公・桐生のイメージは、豊川だったという阪本監督。「阪本さんとガッツリやるのは久しぶりなのですごくうれしいなと思ったんですけど、プロットをいただいた時は、タイトルを3度くらい聞き直した記憶があります」と笑いながら振り返った豊川は、「でも一人称で描かれた不思議なプロットで。新しい阪本さんの一面をあらためて見せつけられたような感じがあって。正直すごく迷った記憶があります」とコメント。安藤も「脚本を読んですぐにやらせてくださいと言いました。今までの阪本さんの作品と違って、大人になったなと思って」と冗談めかしつつも、阪本監督の新境地ともいうべき作品について、「だからすごく興味があったんですよね。阪本さんがこういう作品をやるんだと思って。だからぜひ立ち会いたいなという感じがありました」と語った。
豊川と安藤は今回が初共演。その印象を尋ねられた安藤は、「役者の大先輩でもある豊川さんを評するなんておこがましいですが」と前置きしつつも、「『顔』という作品の豊川さんが、足から登場するんですけど、あれがめちゃくちゃカッコ良くて大好きだったんです。『新・仁義なき戦い。』も色気があってカッコいいなと思いましたし、だから阪本さんの作品で一緒にやれるのをめちゃめちゃ楽しみにしていたんです」と語ると、豊川も「今回、安藤さんとはまったく初めてでしたが、安藤さんというと、僕の中でアーティスティックな部分と無頼な部分がある俳優さんだなと思っていて。実際、現場でお会いしてもカッコいいんですよね。同業者から見ても、カッコいい俳優って意外にいそうでいないんですが、安藤さんは雰囲気とか空気、存在感をまとっている人でした」と返した。
あらためて「この映画をどう宣伝したらいいのか困っているんです」と笑った豊川は、「でもそういう映画もあっていいし。むしろ2022年にそういう映画にめぐり会えるというのもラッキーなタイミングだったんじゃないかなと。この映画が旅立って、日本にとどまらず、世界中を旅して、また日本に戻る時にどうなるのか、楽しみにしています」とコメント。阪本監督も「今は映画の規定概念に収まらないと敗北とされる時代だと言われますが、当然そうなりたくないという思いで作りあげました。お互い強いつながりをもって、インパクトのある映画を撮りたいという一心でしたが、2年間公開が延びて。逆に今の時代に呼ばれたのかなと思います。どう受け取られるかドキドキしていすが、作らざるを得なかった作品なので、皆さんよろしくお願いします」と会場にメッセージを寄せた。
「弟とアンドロイドと僕」は2022年1月7日より公開。
(C)2020「弟とアンドロイドと僕」FILM PARTNERS
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