【映画人のエモーショナルな素顔】朝ドラ女優・上白石萌音さんが飛行機内で見せたひたむきな姿勢
2021年11月6日 08:00

上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが主演するNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の放送が始まりました。昭和、平成、令和を舞台に、ラジオ英語講座とともに歩んだ祖母、母、娘の3世代にわたるヒロインの姿を描くものです。第2話の終盤、早くも最初のヒロイン・14歳の安子に扮する萌音さんが登場し、大きな話題を呼んでいます。
映画.comでは、国内外さまざまな撮影現場で取材してきた筆者が垣間見た、映画人たちが普段なかなか見せることのないエモーショナルな素顔をご紹介します。映画、ドラマ、舞台、音楽活動と各メディアで引っ張りだこの存在となった萌音さんが高校生だった頃のエピソードに触れながら、女優としての魅力に迫ってみようと思います。(取材・文・写真/大塚史貴)
ドラマ「恋はつづくよどこまでも」「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」やNHK大河ドラマ「青天を衝け」での好演は記憶に新しい萌音さんですが、現在地に辿り着くまで、足掛け10年を要しました。初めてメディアの前に姿を現したのは2011年1月9日、東京・台場の劇場で行われた第7回「東宝シンデレラオーディション」。

当時過去最高となる4万4120通の応募のなか、書類審査、地区予選、合宿審査を通過した15人のファイナリストの中に、妹の上白石萌歌さん、近年は映画やテレビに引っ張りだこの浜辺美波さん、「モンスターハンター」でハリウッドデビューを飾った山崎紘菜さんらとともにいたのです。
結果は妹の萌歌さんがグランプリに輝き、萌音さんは審査員特別賞を受賞しました。このとき強く印象に残ったのが、自らの受賞以上に、史上最年少となる10歳でグランプリを戴冠した妹・萌歌さんの姿に感動し、泣きじゃくる姉としての顔でした。

それから2年ほど経過した13年5月、筆者は東京・日比谷にある東宝の本社会議室で萌音さんと再会を果たしました。日本を代表する映画監督・周防正行氏の新作「舞妓はレディ」の製作決定を受け、20年以上も温め続けてきた渾身の企画に着手する周防監督と主人公となるヒロインをお披露目する取材の場に呼ばれたからです。
主演オーディションには約800人が参加したそうですが、最終選考のカメラテストで「今すぐ本番が撮れる」と周防監督を唸らせたのが萌音さんでした。オーディションを終えてからは京都を2度訪問し、置屋に1泊した際には「女優なんかやめて舞妓になった方がいい」とスカウトされたようで、花街に身を置く人々にも花開く前の秘めたる魅力は届いていたのでしょう。
歌舞伎役者を夫に持つ富司純子さんが置屋の女将に扮していますが、劇中で披露する日本舞踊のシーンに触れ「小さい頃からやっていないと難しいのですが、初めてなのにずっとやっておられるくらい上手。本当に努力家」と称えており、その頃から粉骨砕身して役に寄り添う姿勢を保っていることがうかがえます。
撮影が無事に終わり公開を控えた14年7月、萌音さんは機上の人となります。「舞妓はレディ」のプロモーションで仏パリを訪れ、市内のパリ日本文化会館でのプレミア上映、ヨーロッパ最大の日本文化・エンタテインメントの祭典「JAPAN EXPO」に参加するためのものでした。


舞妓姿で凱旋門やエッフェル塔を訪れた際は、「すごーい!」と花の都パリの街並みに興奮しきりの様子で、好奇心溢れる16歳らしい反応は周囲の関係者を和ませました。
ですが、筆者が本当の意味で萌音さんから目が離せなくなったのは、実は帰国する飛行機内での姿を目撃してからだったように感じます。



パリからの帰国便では既に原稿も出稿していたため、筆者は映画を鑑賞してはウトウトするという気ままなひと時を満喫していたわけですが、トイレに行くために席を立ったとき、消灯中で真っ暗ななかライトを灯して必死に勉強する萌音さんの姿が目に飛び込んできたのです。
パリ滞在中から、帰国したらすぐにテストがあると言っていた萌音さん。大学進学を考え、事務所関係者によれば成績は常に学年で上位だったそうですから、芸能活動を何かの言い訳にはしたくなかったのでしょう。
誰よりも疲れているはずなのに、一心不乱に試験勉強に励む萌音さんの姿勢に頭が下がる思いでした。その横顔には一切の迷いがなく、清々しさすら感じられたほどで、シートに身を沈めながら参考書と向き合う凛とした姿は、いまも容易に脳裏に浮かべることができます。
帰国後、この件についてさらりと触れてみると、萌音さんは「見られちゃいましたか」と控えめな照れ笑いを浮かべておりました。
製作発表から1年4カ月後となる14年9月、全国300スクリーンで封切られた「舞妓はレディ」。東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた初日舞台挨拶で、萌音さんは登壇から降壇までの約40分間、泣きじゃくりました。

舞台挨拶で、共演した先輩陣からおくられた珠玉のメッセージをご紹介します。

ひとりひとりの愛あるメッセージに対し、溢れる涙を拭うことすら忘れて「今日のことを一生忘れず、皆さんにまたお会いしたときに『成長したね』と言って頂けるように、これからも頑張っていきたい」と決意表明した萌音さん。
あれから約7年、メディアでは見ない日がないほど八面六臂の活躍をみせています。
朝ドラの撮影は過酷と聞きますが、きっと謙虚な姿勢を崩すことなく卓越した演技力に磨きをかけ、周囲の人々をポカポカとした気分にさせてくれる笑顔を浮かべながら今日も一歩一歩、前進を続けているはず。22年以降、再び銀幕の世界で躍動することを願わずにはいられません。
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