鬼才・吉田恵輔監督が演出の秘密を明かす 出世作「ヒメアノ~ル」上映「よく作ったな」
2021年11月5日 13:00
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第34回東京国際映画祭「Nippon Cinema Now人間の心理をえぐる鬼才 吉田恵輔」で「ヒメアノ~ル」が11月4日夜、東京・日比谷のTOHOシネマズ シャンテで上映され、吉田恵輔監督が満席の中、ティーチインを行った。
フェスティバル・ディレクターの市山尚三氏は「吉田監督は今年、『BLUE ブルー』『空白』の2本が公開され、どちらも傑作だったので、特集したいと思った。『ヒメアノ~ル』は、私が吉田監督の過去作を見るきっかけになったもので、監督のターニングポイントになった作品」と紹介した。
本作は古谷実の同名コミックを原作に、冒頭は恋愛ドラマの仕立てで、途中からサイコパス(森田剛)が襲いかかるホラーサスペンスと変調する異色作。吉田監督は「4年ぶりに見ると、きついな。よく作ったなと思う。古谷さんの原作はあまり映像化されていないので、無理じゃないかと思った。デビュー当時から『フロム・ダスク・ティル・ドーン』などジャンルをまたがる作品が好きだった」などと企画の経緯を語った。
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映画化にあたって、コミックのストーリーを改変。「テーマすら変えてしまった。漫画の森田剛の役は生まれつきサイコパスとして描かれているが、映画では、過去の出来事が原因となって、殺人鬼になることにした。漫画にはマイノリティーのつらさがあるが、観客も環境が違えば、そうなる可能性がゼロではない、というふうにしたかった」と話した。
森田のほかにも、変わった人物が多いと指摘されると、「僕の周りに変な人が多いから。地元の変なやつ大集合という感じなので、日常を描いているつもりです」と笑い。ムロツヨシが好きだという俳優志望の青年から「いい役者とは?」と問われると、「セリフなど説得力があるか、どうかが大事。役者の技術と持っているキャパがあるんです。そのラインギリギリを狙える人が理想です。ムロツヨシはよく見てもらうと、腰が引けている。その程度の芝居だなと思ってください」と笑わせた。
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森田による殺戮シーンは「俺が全力で人を殺すから見ていて、と言ってアクションをつけた」といい、さり気なく怖いシーンが多いと言われると、「悪趣味と思われるだろうけど、事故の瞬間の映像を夜な夜な見てしまう。生理的にイヤなものだが、映像になると、かっこいいに変換される」などと演出術を惜しげもなく披露していた。
「Nippon Cinema Now人間の心理をえぐる鬼才 吉田恵輔」では「BLUE ブルー」が5日、「空白」が6日に上映される。
第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催中。
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