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【松居大悟監督「ちょっと思い出しただけ」インタビュー】時間軸を超越することで、理屈だけでない感情に訴えかけられると思いました

2021年11月4日 15:00

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取材に応じた松居大悟監督
取材に応じた松居大悟監督

現在開催中の第34回東京国際映画祭コンペティション部門に、松居大悟監督の最新作「ちょっと思い出しただけ」が選出されている。松居監督の新機軸とも言われている今回の作品。そもそも前から手にしている軽やかさはそのままに、初となるオリジナルの、ちょっぴり切ないラブストーリーを完成させた。クリープハイプの尾崎世界観が、ジム・ジャームッシュ監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」に着想を得て作った同タイトルの楽曲をもとに、この映画は生まれたわけだ。その手法や映画への創作姿勢などを伺ってみた。

――具体的に7月26日という1日を切り取って過去に遡るという手法は秀逸で、何が起こるかワクワクしました。この手法は前々から考えられていたものですか?

松居大悟監督(以下、松居監督):僕は演劇や映画でも、時空を飛ぶ事によって理屈じゃない感情に訴えかけるものが好きで、何かそこに可能性を感じてきました。今回、この映画を作るために脚本を開発するにあたっては、ジム・ジャームッシュ監督の存在が大きかったです。というか、曲は曲としてすでにあったのですが、ジャームッシュ監督の同名映画は同じ時刻の世界各地が舞台なので、この楽曲が最後に流れる日本映画っていったいどんなだろうとずっと考えていて。

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あの構成が横軸だとしたら、縦軸で考えると、撮影はコロナ禍の東京ロケだと覚悟していたので、全く同じ日付の同じ場所という定点観測が浮かんで。でも、普通に順を追っていくと何か違う気がしました。そして、過去を遡っていく男女の話をウンウン唸りながら思いついたという感じですね。

――ロケーションも素晴らしいですが、小道具(ケーキ、プレゼントのバレッタ、猫など)も面白いですね。やはり演劇も手掛けていますし、小道具はご自分で指定したりするのですか?

松居監督:どちらかというと美術・装飾チームが台本を読んで考えてくれました。切り取った1日は特に何かエモーショナルなことが起きるわけでもないから、1年間を感じる、その見えていない時間を感じるようにしたいというところはありました。チームで話し合って、描かれていないけど確実にふたりが過ごした時間とか、ふたりが会っていなかった期間どのように過ごしていたのかなど、小道具は情報としてはすごく強いのでかなり細かく考えましたね。

――ジャームッシュ監督絡みでは、永瀬正敏さんも登場します。やはり、永瀬さんにお願いしようと思っていたのですか?

松居監督:台本が出来上がって、出てもらいたいと思いました。映画の中で、永瀬さんだけが時間を超越している存在です。構成としては時間が遡っていく話ですが、彼だけ時間が順に動いている。時間軸とか、様々な常識からも超越している存在がいてほしいと思って、あの役を作りました。

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――ところで、映画と演劇を作るにあたって、違いはありますか?

松居監督:違いは沢山あるけれど、決めることに重点が置かれるのが映像で、決めないことに重点が置かれるのは舞台なのだと、今のところ僕は思っています。ちょっと前は違ったのですけど。

演劇は、決めるべきことが多いのですが、決めないことを選ぶことができて、それによって何かすごく豊かになることもある。映像は、決めることによって進化すると思います。自分が監督・演出というポジションなので、決め続けることを求められますが、決めることと決めないことのバランスは、自分の中では舞台と映画では違うということです。

――演劇が決めないことを選べるというのは、役者さんに委ねるということでしょうか?

松居監督:それもありますし、舞台ですと、目の当たりにするお客さんの想像力というものが強みになってきたりしますね。もしも、この登場人物がその後どうしたのかを決めなければ、役者はやりづらいけれど、本番中に未来が変わっていくことを選ぶこともできる。

僕は、それを映像にも持ち込めると思いつつ、まだそこまで至っていないのですが、それが出来たら強いだろうなあと(笑)。映画は決めて決めて決め込んで、決めてないように見せるというのが、いま大切にしているところです。

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――この新作は、松居監督の新境地じゃないかという意見もあります。その事に関しては、どう思われますか?

松居監督:いつも僕は、一番面白いものを作るためにやっています。今回の映画は、古くからのチームと再会して作りました。クリープハイプ、池松壮亮くん、撮影監督の塩谷大樹くんや他の人たちも4~5年一緒にやっていなくて、それが今回すごく久しぶりに作りました。だから、なんなら原点回帰くらいの気持ちでやったので、そう言われると少し不思議な気持ちです。時を重ねて、みんながそれぞれ変化があったからかもしれません。

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――今後、海外の映画祭にもっと積極的に出品することは考えていますか?

松居監督:いつも考えています。海外に対して自分はこんなことを考えていると声高に言いたいわけではないのですが、受信したいというか、違いを感じて理解し合いたいです。これからも作り続けるために。

――主人公の女性がタフでいいなと思いました。

松居監督:ありがとうございます。制作過程で沢山の女性に意見をもらったのと、なにより葉を演じた伊藤沙莉さんのおかげだと思います。

(インタビュー/構成 TIFF 小出幸子)

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