「全員納得したのが有村架純さん」 「るろうに剣心」追憶篇の実写化キャスティング裏話
2021年7月8日 09:00
大ヒットシリーズのフィナーレを飾る「るろうに剣心 最終章 The Final」「るろうに剣心 最終章 The Beginning」。実写化不可能といわれた本作がヒットしたのは、原作ファンたちに受け入れられたキャスティングも大きな要因といえる。人気の高いエピソード「追憶編」を実写化した「The Beginning」のキャスティングについて、第1目から本作に至るまでエグゼクティブプロデューサーを務めたワーナー・ブラザース映画の小岩井宏悦氏が語った。
「The Final」では剣心(佐藤健)とシリーズ最恐の敵・雪代縁(新田真剣佑)の戦いを描き、続く「The Beginning」では剣心の“十字傷”に秘められた真実が明らかになる。2部作を合わせた観客動員数は434万人、興収は61億円を突破している(7月5日時点)。
「追憶編」の実写化にあたり、後に剣心の妻となる雪代巴を演じる有村架純をはじめとした、剣心と共に動乱の幕末を生きたキャラクターのキャスティングが、これまでのシリーズよりもさらに重要だったはずだ。
巴を演じる有村のキャスティングについて、小岩井氏は「巴という役は、このシリーズの真ん中にあるテーマを背負い、愛憎の振幅も大きい難易度が最上級に高いヒロインです。しかも佐藤健くんが大事なシーンを演じる前には必ず巴のことを思った、と言うほど思い入れが強い役で、みんなの頭の中に“完璧な巴像”がある中、全員が納得したのが有村架純さんでした」と有村を起用した経緯を振り返る。
「有村さんは、どちらかというと明るい等身大の女の子のイメージが強いですが、大友監督の『3月のライオン』で演じた生々しい女性像を見て、今回のような濃い影のある役でも魅力的に演じられると確信しました」と、「3月のライオン」でプライドが高く気性が激しいキャラクターを演じきり、新境地を開いた演技力に巴の可能性を見出したそう。
続けて、「おそらくこれほど出演者、監督、スタッフ、そして何よりファンの思い入れが強い登場人物はいないと思います。それを勇気を持って引き受けてくれて、しかも誰もが納得するところまで演じ切ってくれた有村さんには感謝しかないです。公開後、巴としての宣伝活動も終わり、ようやっと安堵した有村さんの笑顔を見た時に、彼女がこの役を演じるにあたって抱えていたプレッシャーの大きさがわかって私も涙が出そうでした」と、裏側を明かす。
また、新選組の沖田総司役で初めてシリーズに参加した村上虹郎のキャスティングに関しては「沖田総司は、幕末の悲劇のアイコンですよね。美しく小柄で最強なのに最後は病に倒れる。これらのイメージに合う新鮮な沖田を探したら、村上虹郎さんに行き着きました。沖田は宗次郎のモデルになっているところもあり、原作の和月伸宏先生からのリクエストで『ですます調』で話していますが、佐藤健くんが抜刀斎として本気で闘うあのスピードと緊張感について来れたのは、舞台でも活躍している村上君だからこそだと思います」と信頼を寄せる。
討幕派を率いる長州藩の桂小五郎役を演じた高橋一生については、本作の“背骨”となる重要なキャスティングだったそうで、「明治時代の剣心が自分の判断だけで生きているの違い、幕末の抜刀斎は、桂小五郎に幕府の転覆と言うミッションを背負わされた刺客です。桂には、抜刀斎にその過酷な使命を背負わせる大義があり、この人の思う新時代を作りたいと思わせる人間的な魅力が必要です。芸者の幾松とのエピソードも有名なので色気も欲しい。決して多くない出番でそのすべてを表せるのは高橋一生さんしかいないと思いオファーしました」と理由を説明。
「『The Beginning』を観て納得してもらえたとしたら、それは主役である剣心の精神的な支柱である桂を演じた高橋一生さんの存在と演技の説得力によるところも大きいと思います」と称賛している。
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