こんなことできるわけない……でも実現させちゃった! 「唐人街探偵 東京MISSION」前代未聞の舞台裏
2021年6月17日 09:00
中国で公開初日に約10億1000万元(約164億円)の興行収入を記録し、「アベンジャーズ エンドゲーム」を超え全世界オープニング週末興行収入歴代1位となった「唐人街探偵 東京MISSION」。その撮影は、まさに“前代未聞”のことばかりだった。巨大セット、大規模ロケなど、撮影にまつわる秘話が盛りだくさん。映画.comでは、メイキングカットとともに、その逸話を紹介していこう。
本作は、中国で大ヒットした「唐人街探案」シリーズの第3弾。東京を舞台に、日本、中国、タイの探偵が国境の垣根を越え、難事件に挑む。日本からは妻夫木聡、長澤まさみ、浅野忠信、三浦友和が参加しているほか、中国からワン・バオチャンとリウ・ハオラン、タイからトニー・ジャーが参加。さらに、染谷将太、鈴木保奈美、六平直政、橋本マナミも出演している。
本作は、内閣府が実施する地域経済の振興等に関する外国映画ロケーション誘致に関する実証調査の1本目となり、日本各地で大規模な撮影を敢行。渋谷・スクランブル交差点のセットを栃木県足利市に、空港のセットを名古屋市にそれぞれ設けるなど、多額の予算を投じた大規模ロケは、新宿・歌舞伎町、秋葉原の電気街、東京タワー、横浜中華街など日本の観光地としてお馴染みの場所も多数使用。実際に道路を完全封鎖し、派手なカーアクション、乱闘シーンを撮影している。
「君の名は。」「天気の子」のエグゼクティブプロデュ―サーとしても知られる古澤佳寛氏が、共同プロデュ―サーとして参加。「心の中では、こんなことできるわけない」。そう感じてしまうほどの撮影のスケールに驚いたようだ。
古澤氏「ロケーションに関してもキャスティングに関しても先方の要求は高く、それをクリアするのは非常に大変でした。中国と日本の行政の違いや日本のロケーションの制約をわかってもらう一方で、できるだけ先方の要求にこたえるべく奔走し、日本での撮影を敢行しました。スタッフキャスト総勢208人が中国からやってきて、通訳十数人の手配もしました」
注目すべきは、渋谷のスクランブル交差点のシーン。足利市の競馬場跡地にオープンセットを作って撮影されており、このセットの制作だけで、日本では映画1本を作れるほどの費用がかかっている。このセットは他作品でも使用されているが、誕生のきっかけは「唐人街探偵 東京MISSION」。本作の撮影がなければ、この大規模なセットは実現しなかったのだ。
チェン・スーチェン監督の「東京を舞台にする」というこだわりは強かった。その思いは、撮影に参加した日本人スタッフに「羨ましくもあるぐらい、監督が最初に描いていたビジョンを絶対に曲げないのがすごい」と言わしめるほど。通常の映画では諦めてしまう状況だったとしても、可能性がある限り、ギリギリまでチャレンジをする姿勢を貫いていた。「こうして実績を作ったことが、日本の映画に限らずいいきっかけになる」と古澤氏が語るように、今後の日本映画界にも影響を与える作品になった。
「唐人街探偵 東京MISSION」は、7月9日から公開。