ダニエル・シュミット「へカテ」予告編 「全ての瞬間、全ての台詞が気絶しそうに美しい」王谷晶らのコメント公開
2021年4月22日 18:00
「ラ・パロマ」などで知られるスイスの映画監督ダニエル・シュミットによるラブストーリーで、4月23日からデジタルリマスター版がリバイバル公開される「ヘカテ」の予告編と、王谷晶、鈴木涼美、VIDEOTAPEMUSICからのコメントが公開された。
フランスの作家ポール・モランの小説「ヘカテとその犬たち」が原作。1942年、第2次世界大戦中の中立国スイスの首都ベルン。外交官の男ジュリアンは、フランス大使館主催の豪奢なパーティ会場で、ひとり追憶にふけっていた。10年ほど前、北アフリカの植民地に赴任した彼は、そこで謎めいた人妻クロチルドと出会い、狂おしいほどの恋に落ちる。
外交官ジュリアンを「ラ・ブーム」のベルナール・ジロドー、人妻クロチルドを「アメリカン・ジゴロ」のローレン・ハットンが演じた。ゴダール作品やシャブロル作品などで知られる名匠レナード・ベルタが撮影、「ローラ」「第三世代」のラウール・ヒメネスがプロダクションデザインを担当。クリスチャン・ディオールがジロドーの衣装デザインを手がけた。
本作は、1983年にシュミットの初の日本劇場公開作として好評を博し、その後ルキノ・ビスコンティらに絶賛され、ミニシアター黎明期を象徴するシュミット・ブームの幕開けとなった伝説的な名作。80年代なかば、蓮實重彦氏の招きで来日して以来、日本文化への関心を強めていき、90年には坂東玉三郎と歌舞伎にオマージュを捧げたドキュメンタリー「書かれた顔」を監督。その後、この映画に出演した舞踊家・大野一雄をめぐるドキュメンタリー映画「ダニエル・シュミットのKAZUO OHNO」(95)を監督した。
「ヘカテ」デジタルリマスター版は、4月23日よりBunkamuraル・シネマほかで公開。
全ての瞬間、全ての台詞が気絶しそうに美しい。そしてこの美しさは、全て暴力から生まれている。男の暴力、女の暴力、恋の暴力、戦争、宗教、植民地……。混沌とした暴力の海の上で、圧倒的な美が踊る。人間の理性も道徳も剥ぎ取る勢いで美が迫ってくる。それに一瞬でも惹かれてしまったら、私もあなたもこの不埒な映画の共犯者だ。
愛というのか恋というのか、あるいは情欲と呼ばれるようなものなのか、自分でコントロールできない心の揺れや痛みがなければ、人生はもっとずっと単純だったのだろうと思った。単純で、安全で、石でできた街並みもそこに差し込む光も、耳に残る音楽もディオールのスーツも、こんな風に煌めくことはなく、退屈なものだったのだろう。痛みが押し寄せた後の、街並みの隙間を埋める空がものすごく綺麗だった。
まったく混ざり合うことなく交互に鳴らされるカルロス・ダレッシオによるエレガントな音楽と北アフリカの伝統的な音楽。
青い月あかりと狂おしい不協和音。異国の地で堕ちてゆく主人公を包む最高のバックグラウンドミュージック。
「ここは地の果て、退屈だよ」、冒頭で主人公に告げられるセリフが呪いの様にこだまする。
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