誰もが希望を思い出すことが大切ーージョージ・クルーニーが「ミッドナイト・スカイ」に込めた思い
2020年12月22日 20:00

ジョージ・クルーニーが監督・主演・製作を務めた「ミッドナイト・スカイ」が、12月23日からNetflixで独占配信される。「本当に誇らしく思っている映画なんだ」と手ごたえをにじませるクルーニーが、本作について語った。
地球が滅亡に向かう中、北極に残り続ける孤独な科学者オーガスティン(クルーニー)は、ある日、地球に取り残された謎の少女と出会い、不思議な共同生活を始めることに。そんな中、オーガスティンは、地球の惨状を知らずに地球へ戻ろうとする宇宙船の乗組員サリー(フェリシティ・ジョーンズ)らの存在を知り、交信を通じて 帰還を止めるべく奔走する。

甘いマスクと高い演技力、そして気さくなキャラクターで人気を誇るクルーニーだが、本作では“疲れ果てた老人”のオーガスティンを演じている。イメージとかけ離れているように思えるが、本人によると「そこまでかけ離れていないよ。年取ってきているからね(笑)。今年60歳だよ。(どんどん)やってきちゃうんだよ。打つ手立ては何もないんだ(笑)」と笑わせてから、オーガスティンについて以下のように分析する。
「最初は監督じゃなくて出演でのオファーだったんだけど、これはいい役だと思った。演技入門編みたいな話だけど、『ER緊急救命室』に出演していた時、僕は小児科医を演じていて、常に子どもと仕事をしていた。キャラクターはアルコール依存症だし、女たらし。でも、いつも子どもの面倒は見ていて。すると、子どもが好きなのか、じゃあいい奴だなって思われる(笑)。オーガスティンも、守らなければいけない少女がいる。それだけで観客は彼の応援をしたくなるし、ある意味、少女のキャラクターがいてくれたことは大きく役立ったんだ」

その少女を演じたカオリン・スプリンガルの演技力にはクルーニーも驚いたそうで、「僕らほかの俳優が赤っ恥をかかされたよ(笑)。だって、全部1テイクで済むんだよ。通常は子役がいる場合、時間にしろ日数にしろ多めにスケジューリングしておくものなんだ。失敗してもいいように時間を取るんだけど、彼女はうますぎて毎回1テイクで撮れちゃうから、その日の予定半ばで仕事が終わることもあった」と振り返る。

本作は、コロナ禍における世間の状況と通ずる部分もあり、クルーニー本人もそれを認めている。「劇中、何が原因で地球が滅びたかには言及していない。でも、いろいろ原因はあり得る。核による大惨事や気候によるグローバルな壊滅……でも、製作が立ち上がった当時はパンデミックは考えていなかった。2月に撮影が終わった後は、編集においても、このストーリーを綴ることにおいても、(コロナの存在で)そう編集せざるを得なかったんだけど、この映画も物語も、人がいかに誰かと深くつながる必要があるのか、いかに“home”に戻りたいのか、いかに愛する人々の近くにいたいのか、そういうことについての作品になったのは明らかだった。でも、その部分はセリフを少し削り、キャラクターが話すのではなく、ある意味音楽とスコアで説明するような形にしたんだ」。

さらに、「この物語が好きなのは、贖罪を深く必要としている男がそれを見つけるところなんだ。特に今はみんな家にいて、みんな(コロナで)感情的に枯渇している。だからこそ『ミッドナイト・スカイ』の終わりには希望がなければいけないと思った。人類の努力には価値があるんだとね。そこがストーリーの美しいところだと思ったし、(コロナでも映画の状況でも)希望はあると、誰もが思い出すことが大切だと思ったんだ」と明かす。「僕も実生活では母と父と一緒にいたい。愛する人と会えずに辛い気持ちになっているのは、みんな一緒だと思う。『ミッドナイト・スカイ』を見て、誰もが経験するこの人間的な葛藤には、葛藤するだけの価値があると、人類の核の部分にあるものは善きものなのだと、戦うに足る価値があるのだと、そう感じてほしい」と、本作に込めた思いを吐露した。
「ミッドナイト・スカイ」は12月23日からNetflixで独占配信。本日12月11日から一部劇場でも上映されている。
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