“中東の和平”を撮るコメディ映画監督がパリ、ニューヨークへ 名匠スレイマン新作「天国にちがいない」予告
2020年12月10日 18:00
「D.I」(02)でその独特なユーモアと豊かなイマジネーションで世界に衝撃を与え、現代のチャップリンあるいはジャック・タチと評される名匠エリア・スレイマンの新作で、第72回カンヌ国際映画祭で特別賞と国際映画批評家連盟賞を受賞した「天国にちがいない」の予告編が公開された。
これまでわずか長編三作品と寡作ながらも、イスラエル領ナザレ出身のパレスチナ人という複雑なアイデンティティと唯一無二の作風により世界中で熱狂的支持を得たスレイマンの10年ぶりの新作。この世界に生きる全ての人に根源的な疑問を投げかける意欲作であり、パレスチナへの愛と苦悩、そして世界の混迷と人間の愛おしさを軽やかな映像美で描く。
予告では、パリの街角に放置された空き瓶の山やカフェのテラス席を管理する警官、NYセントラルパークの天使など、監督の鋭い風刺とイマジネーション豊かなカットがつぎつぎと映し出され、本編への期待が高まる映像だ。
スレイマン監督は新作映画の企画を売り込むため、故郷であるイスラエルのナザレからパリ、ニューヨークへと旅に出る。パリでは美しい街並みに見ほれ、ニューヨークでは映画学校やアラブ・フォーラムに登壇者として招かれる。友人である俳優ガエル・ガルシア・ベルナルの紹介で映画会社のプロデューサーと知り合うが、新作映画の企画は断られてしまう。行く先々で故郷とは全く違う世界を目の当たりにするスレイマン監督。そんな中、思いがけず故郷との類似点を発見する。
1月29日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開。