柄本佑が在宅医療の在り方を模索する 「痛くない死に方」特報&場面写真披露、21年2月20日公開
2020年12月9日 08:00
柄本佑が主演し、在宅医療のスペシャリスト・長尾和宏氏によるベストセラー「痛くない死に方」「痛い在宅医」を映画化する「痛くない死に方」の特報と場面写真がお披露目された。公開日は、2021年2月20日に決定。映像には、在宅医師を演じた柄本をはじめ、坂井真紀、奥田瑛二、余貴美子、宇崎竜童、大谷直子ら実力派俳優陣が、それぞれ“死”を見つめるさまが映し出されている。
在宅医療に従事する医師・河田仁(柄本)は、末期の肺がん患者・井上敏夫(下元史朗)と出会う。敏夫の娘・智美(坂井)は、痛みを伴いながらも延命治療を続ける入院ではなく、“痛くない在宅医”を選択したという。しかし、河田は電話での対応に終始し、敏夫は苦しみ続けて亡くなり、河田と智美は悔恨の念に苛まれる。その後、「カルテでなく人を見ろ」がモットーの在宅医の先輩・長野浩平(奥田)から様々なことを学び、河田は再び末期の肺がん患者・本多彰(宇崎)を担当。ジョークと川柳が大好きな彰とその妻・しぐれ(大谷)とともに、“痛くない死に方”を実践しようとする。
特報には、「大病院の専門医は、臓器という断片を見る。俺たち町医者は、物語を見る」という長野や、「生きることは、食べること」とほほ笑む看護師・中井春菜(余)の言葉がおさめられている。迷いながらも、在宅医だからこそできる医療を模索し、患者と向き合おうとする河田の成長を垣間見ることができる。
「痛くない死に方」は2021年2月20日、柄本がナレーションを務め、これまで2500人の患者を看取ってきた長尾氏のドキュメンタリー映画「けったいな町医者」は同月13日から、シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開される。長尾氏、キャストのコメントは以下の通り。
この映画は拙書「痛くない死に方」と「痛い在宅医」が原作である。しかし高橋伴明監督には他の本も読んで頂き、とても練られた脚本を書いて頂いた。秀逸な川柳はもちろん監督の作品だ。国策である在宅医療はこれまで美談でしか語られてこなかった。リアルを語るとすぐに矢が飛んできた。でも僕は美談が大嫌い。患者目線、家族目線から見た在宅医療とはどんなものなのか。どうすれば望む最期が本当に叶うのか。どんな医者を選べばいいのか。百聞は一見にしかずというが、まさにこの映画に在宅医療の本質が凝縮されている。僕の夢はこの映画を大病院の医師・看護師だけでなく医学生・看護学生にも観てもらうことだ。そのためにはまずは多くの市民に観てもらい評価されないと叶わない。どうか応援よろしくお願いします。
「死」というものへと向かっていく家族と向き合う日々は、演じていることという枠をこえて、言葉にできない感情との闘いでした。高橋監督の生命力あふれる演出に助けられ、智美という女性の人生を歩かせていただきました。人生の終わりに近づいた時までも、私たちはたくさんの選択を迫られますが、この作品が、私たちの未来への希望となり、人生最後の時がよりあたたかいものになればと願います。
人が人として向き合う。それは己と向き合うことではないだろうか。一人の医師として患者と向き合う。人には必ず死が訪れる。「生きるとは、食べること」この台詞、小生、NGを連発してしまった。撮影時を思い出すために書棚に納めてある台本を一年半ぶりに手に取りページをめくった。「生きるとは、食べること」そこに線が引いてあり、さらに上部の空白に大きく自筆で書いてあった。なのに撮影時のNG連発、原因はいかにその台詞がこの映画にとって大切な言葉であるかという証しである。それを一人の医師として表現する。己と役の医師、長野浩平、さらに原作者であるこの役のモデルでもある長尾和宏先生、一体感を持ち現場に満々と臨んでいるつもりだったのであるが上手くいかない。不思議と自律神経が崩壊してナーバスになることはなかったが、その日のビールはいつもと違う苦さだった。恐る恐る完成試写に臨んだ。その日のビールは珠玉の苦味、美味かった。
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