「やりたいことを追求してきた」ジョニー・デップ、チューリッヒ映画祭でプロデュースお披露目
2020年10月8日 16:00

今年16回目を迎えたスイス、チューリッヒ国際映画祭に、ジョニー・デップがプロデュース作品「Crock of Gold: A Few Rounds With Shane」を携えて登壇した。マスタークラスを開催した昨年に続く参加となった。
本作は、デップの35年来の友人であるアイルランドのミュージシャン、シェーン・マガウアン(ザ・ポーグス)のドキュメンタリーで、ジュリアン・テンプル監督がメガホンを握った作品だ。プロデューサーのスティーブン・デューターズとマガウアンの長年のパートナー、ビクトリア・メアリー・クラークとともに記者会見に応じたデップは、クラークから企画を持ちかけられ、乗り気になったことを明かした。
「シェーンとは長い友だちであると同時に、僕にとって彼はジェイムズ・ジョイスやチャールズ・ブコウスキーらと並ぶ、今世紀のもっとも重要な詩人のひとりだ。彼のパワフルな言葉と歌に魅せられる。だから彼のことを少しでも多くの人に知ってもらうことはとても重要だと感じた」さらに初めて会ったときのことを明かし、「僕のヒーローが話しかけてくれたというのに、最初は(アイルランド訛りのせいで)彼が何を言っているのか理解できなかった(笑)。慣れるのにしばらくかかったよ」とも。一方クラークは、ふたりの相性の良さを指摘し、「ふたりはとても似ていると思います。妥協がなく、型破りでクリエイティブ。率直で、自分の好きなことをやっている、素晴らしいアーティストです」と評した。
(C)Tim Hughes for Zurich Film Festival映画はマガウアンの半生を、関係者のインタビューや、ときにアニメーションの映像を交えながら紹介しつつ、彼がルーツを置くアイルランドの歴史を交えたアーカイブ映像、現在のマガウアンの談話などを織り交ぜている。プライマル・スクリームのボビー・ギレスビーや、デップ自身も飲み友だちとして登場する。またU2のボノやニック・ケイブ、シンニード・オコナー、アイルランドのヒギンズ大統領まで参加したマガウアンの60歳の誕生パーティ・コンサートの様子も垣間見ることができる。当時の音楽シーンに繋がりの深いテンプル監督ならではのフッテージも収められ、偉大なアーティストに対する真摯で率直なオマージュになっている。
さらに、今年もマスタークラスを開催したデップは、自分の人生においてマガウアンから影響を受けた点について語り、「彼は他人にどう見られるかなど気にせず、やりたいことを追求してきた。その姿勢に感化される。たとえば『パイレーツ・オブ・カリビアン』を撮影し始めたとき、スタジオのトップから、『何をしゃべっているかわからない』『なんであんな仕草をするのか。この役はゲイなのか?』などと散々なことを言われたけれど、自分のやり方を貫いて良かったと思っている」と、自身のキャリアを振り返りながら語った。
今年は新型コロナウィルスの影響で、予定していた自身のバンド、ハリウッド・ヴァンパイアの世界的なツアーが延期になってしまったデップだが、来年には「ファンタスティック・ビースト3」の公開も控えるなど、相変わらず精力的な活動が続きそうだ。(佐藤久理子)
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