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閉塞感に満ちた町でもがく若者、米国の分断を映したドキュメンタリー「行き止まりの世界に生まれて」監督に聞く

2020年9月4日 14:00

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ビン・リュー監督
ビン・リュー監督

[映画.com ニュース] 第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート作品で、バラク・オバマ前米大統領が、2018年の年間ベストに選出した映画「行き止まりの世界に生まれて」が公開された。かつて鉄鋼や石炭、自動車産業で栄えていたが、現在は衰退し“全米で最も惨めな町”と称されるイリノイ州ロックフォードの貧困地区に生きる3人の青年の人生を、スケートボードを通して映し出す。自身も同地で育ったビン・リュー監督に話を聞いた。

――どのようなきっかけで本作が生まれたのでしょうか?

シカゴで映画やテレビドラマの撮影部で働いていた当時20代の僕は、自分がどんな人間になりたいのかを模索しながら、短編ドキュメンタリーを作っていました。スケートフィルマーのドキュメンタリーを作ったことがきっかけで、僕は、メンタルヘルスや人間関係、子育てのスタイルに何かしら悪影響を与えている、父親の不在や確執、父親からの暴力のパターンに気づきました。次のプロジェクトのテーマはそれにしようと決め、アメリカ中を旅して、各地のスケーターたちにインタビューをしました。

故郷ロックフォードに戻った時に、初めてキアーが僕にしてくれた父親の話を聞きながら、僕は彼に自分を重ねていました。それはとてもエモーショナルな体験で、彼が葛藤する姿を前に、ただ話を聞いてあげたいと思い、彼を撮り始めました。そしてザックが父親になることを知り、彼とニナが親になっていく過程を撮らせてもらうことにしました。僕は、「大人になるとはどういうことか」に常に興味があったのですが、お手本になるような大人を探すというよりも、自分と同じように葛藤している人に光を当てたかったのです。

画像2(C)2018 Minding the Gap LLC. All Rights Reserved.
――監督にとって今作が初の長編です。これまで、どのような映画に影響を受けてきましたか?

GUMMO ガンモ」「ウェイキング・ライフ」「KIDS(1995)」「スラッカー」といった、不確実な世界で育つことを描きながら、どこか希望があって、僕の混沌とした子ども時代を意味のあるものにしてくれた映画です。好きな監督は、リチャード・リンクレイターハーモニー・コリンポール・トーマス・アンダーソンテレンス・マリックなど。彼らの映画が好きなのは、人々のコミュニティを独自の視点で描いていて、そして心に迫るものがあるからです。本作で制作に入ってくれたカルテムキン・フィルムズはスティーブ・ジェームズ監督「フープ・ドリームス」で有名ですが、そこでシネマ・ベリテのスタイルに触れ、大きな影響を受けました。特に、「スティーヴィー」は、美しくも悲劇的であり、弱さと真実を合わせ持ち、安易な物の見方を拒むような、今まで見たこともない映画で、自分にとって大切な映画です。

――とてもパーソナルな物語でありながら、今の世界が浮かび上がってくる作品です。数多くの映画祭で上映され、人々に響く映画になったのはなぜだと思いますか?

多くの方が、両親から傷を負う経験をしていたり、その経験についてきちんと話したことがなかったりするのだと思います。きっと多くの方が、自分の中にキアーやザックなど本作の登場人物が抱える葛藤を持っていて、共感してくださったのだと思います。確かに、BLMやトキシック・マスキュリニティ、経済格差など、タイムリーな映画になったと思いますが、こういった問題は常に僕たちの世界にはあって、ちょうど今メディアによって名前が付けられ光を浴びているタイミングのような気がします。

上映後に観客のみなさんが自分の思いを語ってくださることが本当に多く、自然に語りたくなる映画なのだと感じました。みんなで劇場で鑑賞し、自分の経験や思ったことをお互いに語り合うところまでを含めて、この映画の体験なのだと感じています。

――これからご覧になる観客へメッセージをください。

この作品は14歳の僕自身に向けて作った映画でもあります。当時の僕に、友達とこんなふうに自分の気持ちや過去に起きたことについて話せるんだよと、伝えてあげたいと思いました。また、同じような状況に身を置いている方々にとってのガイドブックに少しでもなれたらいいなと願っています。

行き止まりの世界に生まれて」は、9月4日から東京・新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。

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