タルコフスキー、ソクーロフに続く鬼才、セルゲイ・ロズニツァ監督作が日本初公開
2020年9月3日 18:00
[映画.com ニュース] カンヌ映画祭で2冠、近作10作品すべてが世界三大映画祭に選出されているものの、これまで日本未公開だった鬼才セルゲイ・ロズニツァ監督の作品を上映する企画「セルゲイ・ロズニツァ『群衆』ドキュメンタリー3選」が、11月14日からシアター・イメージフォーラムで開催される。
ロズニツァ監督は1964年生まれ。ウクライナ出身で現在ベルリン在住。1991年、ソ連崩壊の年、モスクワの全ロシア映画大学に入学し、1996年からソクーロフの製作で知られるサンクトペテルブルク・ドキュメンタリー映画スタジオで映画監督としてキャリアをスタート。これまで21本のドキュメンタリーと4本の長編劇映画を発表し、カンヌ映画祭では12年に「In the Fog」で国際映画批評家連盟賞、18年に「Donbass」で「ある視点部門」最優秀監督賞を受賞している。
ロシア文学者の沼野充義氏は「ソ連・ロシア映画はエイゼンシュテインからタルコフスキー、ソクーロフと長い道を辿ってきましたが、その究極の行きつく先がロズニッツァかと思いました。これは本当にすごいものです。ソクーロフを観てきた人なら、この凄さは分るでしょう。しかしアーカイヴの記録映像をつないでよくこんなものを作ろうと思った、その究極の発想に驚かされます。誰でも思い付きそうなのに、誰もここまでやろうとしなかった」とコメントを寄せている。
今回のラインナップは、最新作で、ソ連の独裁者スターリンの56年前の国葬の幻の記録を使用したアーカイブ映画「国葬」(19)、同じくスターリンによって行われた90年前の裁判の記録を使用した「粛清裁判」(18)、そして、ホロコーストの現場となった元強制収容所を観光する、ダークツーリズムのドキュメンタリー「アウステルリッツ」(16)の3作。異なる時代の群衆に眼差しを向け、人々がどのように群衆化するか考察する。
11月14日~12月11日、シアター・イメージフォーラムにて3作一挙公開。
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