いじめ、非正規雇用…もがき生きる現代人に遺した、夭折の歌人の叫び 「滑走路」場面写真公開
2020年8月24日 08:00
[映画.com ニュース] 32歳でこの世を去った夭折の歌人・萩原慎一郎氏による歌集を映画化する「滑走路」の公開日が、11月20日に決定した。あわせて場面写真10点が一挙にお披露目され、困難と対峙しながらも懸命に生きる人々が切り取られている。
いじめや非正規雇用を経験しながら、それでも生きる希望を託した短歌を発表し続けた歌人・萩原氏。「歌集 滑走路」のあとがきを入稿した翌月、32歳の若さで命を絶った。デビュー作にして遺作となった歌集は、苦悩を抱える人へのエールとして多くの共感を呼び、ベストセラーを記録した。大庭功睦監督がメガホンをとる映画版では、水川あさみ、浅香航大、新人の寄川歌太をはじめ、坂井真紀、水橋研二、吉村界人、染谷将太、木下渓、池田優斗が共演した。
原作をモチーフにしたオリジナルストーリーが紡がれ、ばらばらの3人の人生が交錯する本作。30代後半に差し掛かり、子どもを欲しながらも、高校の美術教師である夫(水橋)との関係に違和感を持つ切り絵作家・翠(水川)。非正規雇用問題に取り組みながら、自らも激務に追われ仕事への理想を失っている厚生労働省の若手官僚・鷹野(浅香)。幼なじみをかばったことで、いじめの標的にされてしまい、シングルマザーの母(坂井)に心配をかけまいとひとりで問題を抱えこむ中学2年生の学級委員長(寄川)。いじめ、非正規雇用、過労、キャリア、自死、家族――現代を生きる若い世代の不安や葛藤、それでもなお希望を求めてもがき生きる姿を鮮烈に描き出す。
場面写真には、子どもを持ちたいと考えている翠が、道で男の子を見かけてほほ笑む姿や、夫と囲む食卓などを活写。官僚として日々奮闘し、思いつめた表情を浮かべる鷹野や、いじめを受ける中で、唯一心を許せる女子生徒と図書館で勉強する学級委員長など、それぞれの人生の何気ないひとときが写し出されている。
「滑走路」は、11月20日から全国公開。
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