【「東京ゴッドファーザーズ」評論】ホームレス3人組が捨てられた赤ん坊に導かれる“大人のおとぎ話”
2020年8月10日 22:00

[映画.com ニュース] 新型コロナウイルスの影響により、多くの新作映画が公開延期となり、映画ファンの鑑賞機会は減るばかりです。映画.comでは、「映画.comオールタイム・ベスト」(https://eiga.com/alltime-best/)に選ばれた、ネットですぐ見られる作品の評論をお届けいたします。今回は「東京ゴッドファーザーズ」です。
監督デビュー作の「PERFECT BLUE(1998)」から筒井康隆原作の「パプリカ」、総監督を務めたテレビシリーズでは「妄想代理人」という直球のタイトルで現実と夢が交錯する物語を好んで描いてきた今敏監督。その作品歴のなかで、ハートウォーミングなドラマを紡ぐ本作は異色作だと思っていた。2003年の公開時はサラッと見てしまい印象が薄かったが、見直してその素晴らしさを再発見することができた。
新宿でダンボール生活をおくる、飲んだくれの中年オヤジ、口が悪く世話好きな元ドラァグクイーン、女子高生の家出少女のホームレス3人組がクリスマスにゴミ捨て場で赤ん坊を拾い、母親のもとに返そうと東京中を駆けまわる。聖なる日に出会った“神様に愛された子”と関わることで、3人は元日までの数日間さまざまな人と出会い、赤ん坊に導かれるように自分の人生と向き合うことになる。
雑居ビルや看板がひしめきあう繁華街、真っ赤にそびえたつ夜の東京タワー、裏路地に並ぶエアコンの室外機――ホームレスたちの奮闘を見守るかのように東京の街はさまざまな顔を見せる。そうした風景を写真と見まごうリアリティで精緻に描き、キャラクターには漫画的な誇張を存分に生かした芝居をさせている。この組み合わせはアニメーションならではの表現で、含蓄のある豊かな表情を随所に見ることができる。
実在の場所で地に足のついたドラマが展開しているように見えつつも、あり得ないぐらいの偶然の連鎖と、ほんの少しの奇跡がおこる本作には“大人のおとぎ話”とも言うべき不思議な雰囲気が漂っている。これは誰かが見ている夢なのかもしれないとすら思える、現実と夢が薄くないまぜになった心地よい酩酊感は、異色作というより今監督の真骨頂なのではないか。時折シニカルな目線が入るところも今監督作品らしく、シンプルな物語であるだけに今監督の世界のとらえ方や人生観がにじみ出ているようにも感じられた。
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