【活弁シネマ倶楽部100回記念】“大林宣彦チルドレン”樋口尚文&長久允が語り尽くす「海辺の映画館」
2020年8月1日 05:00

[映画.com ニュース] “映画を語る”をテーマとしたWEB番組「活弁シネマ倶楽部」が100回目を迎え、記念特番が公開された。テーマとなったのは、大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館 キネマの玉手箱」。“大林チルドレン”ともいうべき樋口尚文監督(「葬式の名人」)と長久允監督(「ウィーアーリトルゾンビーズ」)が、映画評論家・森直人氏とトークを繰り広げている。
大林監督が約20年ぶりに故郷である広島・尾道市で撮影し、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルなどさまざまな映画表現で、戦争の歴史をたどるストーリーが展開。長久監督は「大林さんの頭からお尻までの、今までのフィルモグラフィーの全部入りみたいな。キャストもそうだし、物語と時代性にどうアプローチするかと、時代はさておきスクリーンを見ている人にどうアプローチするのか、というものの込め方の集大成になっている。鳥肌が立ちましたね。すごいですよね。めまいがしました(笑)」と驚きを隠せない。
一方、樋口監督はその意見に同調しつつ「映画っていうのは、始まりがあって終わりがあるものだと皆思ってますけど、大林さんは、生まれて映画を作り出してから、亡くなるまで映画を作り続けていた。1個の作品っていうものを超越して、ずっと映画を作ってきて最後は神がこの辺にしてくださいって(笑)」と分析。撮影現場でのエピソードとして「周りの人間は、(大林)監督は止めないと終わらないからって(笑)。そういう意味では、まだ完成してないのかなとすら思っていて」と述べてみせた。

森氏が「ラストが完成してませんよっていうラストですよね(笑)」と指摘すると、「『私の人生の限りもありますから、ここまでにしておきますが、私はもっと喋りたい。映画というものを作って喋りたい』という感じが余韻としてすごい残る映画だった」と樋口監督も同意。やがて、話題は大林監督の映画づくりに対する姿勢へと転じていく。
樋口監督は「自分の世界を表現するのがコマーシャル」という大林監督の言葉を紹介しつつ、「我々にはなんのことかわからない」と笑う。さらに、CM制作については「全ては僕のおもちゃであった」、映画製作時は「客観的な、職人的な客観的な、もう少し大人な私が作っている」という発言があったようだ。これには広告業界で功績を残してきた長久監督も「CM制作は翻訳家みたいなイメージで、映画は好きにやれる場所だと思っていた」と反応。「企業や商品のコンセプトを如何にわかりやすく印象的に消費者に伝えるかが問われる、CM製作の方が自由度が低い」という考えを示しつつ、大林監督の感覚が“別世界にあること”を再認識したようだ。
今回の収録では、アイドルや新人女優の起用、物語や編集、脚本、他作品との比較、生前の大林監督のエピソードも飛び出した。これまで多くの映画監督が出演し、映画の語りを繰り広げてきた「活弁シネマ倶楽部」。記念すべき100回目にふさわしい、映画マニア必見の内容となっている。
「活弁シネマ倶楽部」(「海辺の映画館 キネマの玉手箱」)は、YouTube(https://youtu.be/cnkRrCZtDXg)で配信中。
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