中川大志の飽くなき探求心 ソニック役への強い思い「声優の勉強をする場ではない」
2020年6月25日 13:00

[映画.com ニュース] 日本が生み出した世界的人気キャラクターで、全世界でシリーズ累計9.2億本を売り上げたセガの人気ゲーム「ソニック」シリーズをハリウッドで実写映画化した「ソニック・ザ・ムービー」。本作で、宇宙最速の青いハリネズミ・ソニックの日本語吹き替え版声優を担当しているのが、若手実力派俳優の中川大志だ。中川はこれまでも、劇場版アニメ「映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年」や「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」の日本語吹き替えなど声の芝居で高い演技力を披露してきたが、本作でもソニックを躍動感いっぱいに演じている。「決して声優の勉強をする場ではない」と強い視線で語った中川が作品への熱い思いを語った。(取材・文:磯部正和/写真:堀弥生)
「声を本業としているわけではない」と自身に客観的な目を向ける中川。だからこそ、好奇心旺盛で、果敢にいろいろな役柄に挑んでいく“俳優・中川大志”とは違い、本作のオファーを受けたとき、「生半可な気持ちでは受けてはいけない」という大きな葛藤があった。一旦は「できないです」と辞退する意向を見せたが、一方で世界的に有名であり、中川自身も子どもの頃から慣れ親しんでいたソニックというキャラクターと、自分が交わりあったという“奇跡”にも心が動かされた。
悩んだ末に中川が出した結論は「一度テスト収録させてもらう」ということ。自分なりにしっかりキャラクターと向き合い、役柄の気持ちになり命を吹き込む。そこで自分がソニックという役を演じるにふさわしいかを判断してもらった。結果は「OK」。中川のなかで迷いが消えた。

非常にストイックな考え方に感じるが、中川は「『ソニック』という作品は、決して声優の勉強をさせてもらう場ではない」とキッパリ。それは“本業ではない”ことへ抵抗感を持つ人への挑戦でもあった。「やる以上は、作品を壊してはいけないし、ほかの声優さんたちに失礼な出来ではいけない。“本業ではない”ということを言い訳には絶対できない。そこまでのクオリティに持っていかなければいけないんです」。
大事にしたのはキャラクターへの理解。ソニックを作り上げたゲームメーカーの開発チームの人々へヒアリングを行った。そのなかで「子どもたちが憧れる近所のお兄ちゃんみたいな存在」という言葉が心に残った。中川自身も「そういうお兄ちゃんっていたな」と想像が膨らむと「いつも余裕があって、何があっても動じない。ついていくと楽しいことが起こるようなワクワク感は常に意識して声を吹き込みました」と役へのアプローチ方法を語る。
一方で、映画ならではのソニックという部分への理解も大切にした。「映画では毛の一本一本のしなやかさや目の動きなど、ゲームでは表現されていない細かい心理描写が見られます。先ほど述べたような軽快さにプラスして、弱い部分や孤独さなどのギャップも意識しました」。

テクニカルな部分も、ボイスレッスンを行い、自分の声を把握することに努めた。「俳優の仕事だと、あまり自分の声を意識したことがなかったので、喉の使い方によってどんな声が出るのかを知ることは大きかった。それによって、音響監督さんが『このぐらいに持っていきたいね』というソニックの声を安定して出すことができました」。
中川の妥協なく突き詰めていく姿勢によって命を吹き込まれたソニックの声は、躍動感もあり、哀愁もあり、かわいさもあり……まさに「あっぱれ」と言いたくなるほどのクオリティだ。子ども向け情報バラエティー番組「おはスタ」で共演して以来、師と仰ぐ(本作でソニックと戦うドクター・ロボトニックの声を演じている)山寺宏一からも「本当に素晴らしい」と大絶賛されていたが、「納得いくまで何度も何度もテイクを重ねさせていただきました」とこだわり抜いた。
自身3度目となる声優挑戦となったが「やればやるほど声優さんへのリスペクトが大きくなると同時に、声ってすごく面白いなと思うようになりました」と目を輝かせる。特に強く感じたのが「声がどんな映像に乗るかによって、表現の幅の基準や物差しが変わってくる」という気づきだという。映像のトーンの違いで、声のボリュームや発声の仕方を変える――こうした微妙なさじ加減も本作を通じて学ぶことができた。
「俳優としても、大きな経験になりました」と語っていた中川。イベントで山寺は「なんでもできる子。経験を重ねれば声優としても活躍できる」と中川を称していたが、いろいろなジャンルでの活躍が期待される、楽しみな“表現者”だ。
「ソニック・ザ・ムービー」は6月26日から全国公開。
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