【ハリウッドコラム】膨大なコンテンツを誇るHBO MaxはNetflixキラーとなるか?
2020年6月5日 12:00

[映画.com ニュース] ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリストの小西未来氏が、ハリウッドの最新情報をお届けします。
米ワーナーメディアの新ストリーミングサービス「HBO Max」が5月27日(現地時間)、サービスを開始した。その名の通り、米有料チャンネルHBOのコンテンツに、ワーナーメディア保有のライブラリーを揃えて、Max(極限)化したものだ。
HBOといえば、古くは「ザ・ソプラノズ」や「Sex And The City」「ザ・ワイヤー」、最近では「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ウエストワールド」など高品質のドラマを手がけてきたことで知られる。HBOのコンテンツは2015年からHBO NOWという配信サービスで視聴が可能だったのだが、このたびHBO Maxに引き継がれることになった。
きっかけは、18年に米通信大手AT&TがHBOの親会社であるタイムワーナーを買収したことにある。HBOといえば卓越した鑑識眼で量よりも質に重きを置いていたことで知られるが、AT&Tは量産を指示。その結果、リチャード・プレプラー会長兼代表取締役などのHBOブランドの立役者が離れていくことになった。ちなみに、その後、プレプラー氏はApple TV+と契約を結んでいる。

さて、HBO Maxには、HBO作品のほかに、「ワンダーウーマン」「ハリー・ポッター」「フレンズ」といったワーナー・ブラザースの映画やテレビ番組、DC、CNN、TNT、TBS、truTV、カートゥーン・ネットワーク、Adult Swim、Crunchyroll、Rooster Teeth、Looney Tunes、TCMといったチャンネル、配信サービスのコンテンツが提供されている。ライセンス作品も多く取り揃えていて、米ストリーミング配信では初めてジブリ作品が登場(「火垂るの墓」のみ除外)。ローンチ時には10万時間以上を超えるコンテンツが用意された。
新興サービスながら、コンテンツの量は圧倒的だ。Disney+は、19年11月にローンチされたときに、テレビ番組7000話と映画500本があると豪語していた。だが、テレビ番組1話1時間、映画が2時間と計算しても、計8000時間にすぎない。

一方、HBO Maxはオリジナル作品が少なく、大人向けのドラマはアナ・ケンドリック主演のロマコメ「ラブ・ライフ(原題)」のみ。今後は毎月オリジナル作品が発表されていく予定で、J・J・エイブラムスやジョス・ウェドンの新ドラマが加えられる予定だ。
コンテンツの海を航海するうえで役に立つのが、HBOやDC、SESAME WORKSHOP、TCM、スタジオジブリといったブランドで区分けされたハブだ。Disney+も、ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル・ジオグラフィックというハブに分かれているが、こちらはハブ自体が多くてぶっちゃけ面倒だ。結局、ぼくが利用するのはHBOと往年の映画を多く取り揃えているTCM、さらに子どものためのジブリだけで、ほかはほとんど使っていない。思い返せば、コンテンツの数は少ないけれど、クオリティが担保されていたHBO NOWのほうがずっと使いやすかったし、満足度が高かった。ただ、打倒Netflixを掲げるならば、ありとあらゆる種類のコンテンツを揃えるのが正解なのだろう。

月額料金に関してはNetflixの一般的なプランが12ドル99セントなのに対し、14ドル99セントと割高だ。HBO NOWの月額料金と同じなので、これまで同サービスを利用している人からすればお得なのだが、そうでない人は躊躇する金額だろう。ちなみに、Disney+は6ドル99セント、Huluが5ドル99セントである。
HBO Maxは、コンテンツ数は多くてもほとんどが旧作で、Disney+の「マンダロリアン」のような加入を促すオリジナルの新作がない点もマイナスだ。Netflixとの本当の戦いは、魅力的なオリジナル作品が充実するようになってからになりそうだ。なお、ワーナーメディアは25年までにアメリカで会員5000万人到達を目指すとしている。
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