世界各国で上映禁止! 常軌を逸した実録スリラー「アングスト 不安」7月公開
2020年5月14日 17:00

[映画.com ニュース] 1980年にオーストリアで起きた一家惨殺事件を映画化した実録スリラー「ANGST(原題)」が、「アングスト 不安」の邦題で、7月3日から劇場公開されることが決定。あわせて、身の毛もよだつチラシビジュアルがお披露目された。
83年に製作された本作は、実在の殺人鬼ベルナー・クニーセクによる事件を基にした作品。刑務所出所後の殺人鬼(=狂人)が感じる不安やプレッシャーによる異様な行動と心理状態を、凶暴かつ冷酷非情なタッチと斬新なカメラワークを用いて表現。狂人自身のモノローグでつづる構造、全編に徹底された陰鬱なトーンは、他に類を見ない芸術性を発揮している。
アメリカの映画サイト「Taste of Cinema」が選ぶ“史上最もダークなシリアルキラー映画”では、「ヘンリー」「セブン」「ハウス・ジャック・ビルト」といった傑作を抑え、堂々の1位を獲得。だが、83年公開当時はショッキングな内容により、本国オーストリアでは1週間で上映打ち切り。各国で上映禁止となり、イギリスとドイツではビデオの発売もNG、アメリカでは“XXX指定”となった。日本でも劇場公開はされず、88年に「鮮血と絶叫のメロディー 引き裂かれた夜」というタイトルでレンタル用VHSが発売されたが、世の中に出回った数は極少。“見たくても見られない作品”となり、現在へと至っている。
メガホンをとったジェラルド・カーグルは、全額自費で本作を製作。不穏なエレクトロサウンドを手掛けたのは、「タンジェリン・ドリーム」の元メンバーであり、「アシュ・ラ・テンペル」に所属するクラウス・シュルツ。また、アカデミー賞最優秀短編アニメ賞「タンゴ」や、ジョン・レノン、ミック・ジャガーらのMVで知られるズビグニェフ・リプチンスキが撮影を担当している。
日本オリジナルのチラシビジュアルは、「U・ボート」「アンダーワールド」の俳優エルウィン・レーダー扮する殺人鬼が、暗闇で何かを叫ぶ姿をアップでとらえている。カーグル監督も同ビジュアルを気に入ったようで、特に色合いを絶賛し「素晴らしい。見事だ」とコメント。また、今回の公開決定のリリースには、以下のような注意書きが添えられていた。
「本作は、1980年にオーストリアで実際に起こった事件を描いております。当時の司法制度では裁ききれなかった為に発生した事象であり、本映画をきっかけとして以降大きく制度が変わりました。劇中、倫理的に許容しがたい設定、描写が含まれておりますが、すべて事実に基づいたものであります。本作は娯楽を趣旨としたホラー映画ではありません。特殊な撮影手法と奇抜な演出は観る者に取り返しのつかない心的外傷をおよぼす危険性があるため、この手の作品を好まない方、心臓の弱い方はご遠慮下さいますようお願い致します。またご鑑賞の際には自己責任において覚悟して劇場にご来場下さい」
「アングスト 不安」は、7月3日から東京・シネマート新宿ほか全国順次公開。R15+指定。
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