【「AKIRA」評論】“近未来の2019年”を描いたSFアニメーションの金字塔
2020年4月12日 10:00

[映画.com ニュース] 新型コロナウイルスの影響により、多くの新作映画が公開延期となり、映画ファンの鑑賞機会は減るばかりです。映画.comでは、「映画.comオールタイム・ベスト」(近日一覧を発表予定)に選ばれた、ネットですぐ見られる作品の評論を毎週お届けいたします。今回は「AKIRA」です。
「AKIRA」は“見る”というより“体験する”映画だ。作中の出来事は、説明を極力廃した現象として描かれ、アニメーションと音楽のすごみに呑みこまれるような感覚におそわれる。
大友克洋監督が自身の漫画を長編映画化した同作は、国内外のクリエーターに多大な影響を与えたSFアニメーションの金字塔。ハリウッドでの実写映画化が進行中で、スティーブン・スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」(2018)に真っ赤な金田バイクが登場するなど、1988年の公開から30年以上、世界中のファンを魅了し続けている。
舞台は、東京オリンピックを間近に控えた2019年のネオ東京。奇しくも、現実の東京オリンピック開催とリンクしたことが話題にもなった。不良少年グループの金田と鉄雄は、人体実験によって新たな力に目覚めた少年との遭遇をきっかけに、ネオ東京をも滅ぼす力をもつ最高機密「アキラ」の神秘にふれることになる。
製作期間3年、総製作費10億円を費やし、なかむらたかし、森本晃司、井上俊之、沖浦啓之ら、今も第一線で活躍中のアニメーターが結集して描かれたアニメーションの魅力は今見ても色あせない。オーバーアクション気味に生き生きと動くキャラクター、テールランプの残像が美しいバイクの疾走、爆発、飛び散る破片、逃げまどう群集――全編動きの快感に満ちている。
芸能山城組による音楽も、大きな魅力のひとつ。インドネシア・バリ島の男性合唱ケチャ、竹製の打楽器ジェゴグなど海外の民族音楽を取りいれた楽曲群は強烈なインパクトがあり、トライバルなリズムと、呪術的な要素を感じさせる音色で、見る人を作品世界に没入させる。
エンタメフィルムとして見るたびに新たな発見があり、ネオ東京の破壊と再生への祈りを描いた物語には、作中で描かれた2019年をすぎた今なお不思議なリアリティが感じられる。未見のラッキーな方は、ぜひ一度「AKIRA」を“体験”してみてほしい。
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