三島有紀子監督がNHKを辞めたわけは? 「Red」で岩井俊二監督とトーク
2020年2月27日 18:00

[映画.com ニュース]「Red」(公開中)の三島有紀子監督と「ラストレター」(公開中)の岩井俊二監督が2月26日夜、「Red」が公開中の東京・新宿バルト9でスペシャルトークイベントを行った。
「Red」は現代女性の恋愛心理描写を巧みに表現し、女性から圧倒的な支持を得る直木賞作家・島本理生氏の小説を、「幼な子われらに生まれ」で第41回モントリオール世界映画祭 コンペティション部門審査員特別大賞などを受賞した三島監督が映画化。10年ぶりに元恋人(妻夫木聡)に再会したヒロイン、塔子(夏帆)の究極の愛の選択を描く。
2人の出会いは90年代後半まで遡る。三島監督は大学卒業後の92年にNHKに入社。サエキけんぞう氏が司会していた若者向けトーク番組「ソリトン」でのフロアディレクターを担当していた時に、岩井監督がゲスト出演した。「でも、その時はお話ができなくて、岩井さんがムーンライダーズの『毛ぼうし』(97年)というショートフィルムを撮られる時にメイキングを撮らせてもらった。物事を見つめる眼差しが凄くて、岩井さんばかりを撮っていた」と三島監督。その後、三島監督はNHKを退社し、映画監督の道に。15年の上海国際映画祭で再会して親しくなったという。
岩井監督は「NHKからフリーの映画監督という道も大変なんだろうな。僕の後輩にもNHKのディレクターがいるけども、2度も写真週刊誌に撮られた。『辞めたらいいじゃないか』と言ったけれども、一向に辞めない。ということは、NHKはいいところなんだろうな」というと、三島監督は「塔子さんの(エリートな)夫の真(間宮祥太朗)じゃないけど、NHKはお給料もいいし、環境も整っているんです。でも、一番好きなのは映画だった。映画の現場って、熱いし、めちゃくちゃですが、映画の現場に携われないことに違和感があったんです。NHKの三島ではなく、三島個人として歩き始めました」と告白していた。
岩井監督は「Red」について、「女の醜さや情念までを曝け出すような塔子と、片や鞍田の佇まいは淡雪のように美しい。夏帆と妻夫木聡、二人の表現力に終始魅了された。美しくも残酷な物語だ」。一方、三島監督は「ラストレター」について「あんな美しいひぐらしの音を聞いたことがない。それは、豊川悦司が演じる、醜さを兼ね備えた、類を見ない男が存在して、成し遂げられる美しさだ」とコメント。2人の監督は奇しくも互いの作品について「美しい」をキーワードにあげており、映像術や演出術について映画監督ならでは、のトークを約30分間、繰り広げた。
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