河野義行氏「リチャード・ジュエル」が描くえん罪に「松本サリン事件とまったく一緒」
2020年1月8日 20:18

[映画.com ニュース] クリント・イーストウッド監督の最新作「リチャード・ジュエル」の公開記念トークイベントが1月8日、都内で行われた。実話をもとに、えん罪に巻き込まれた市民の苦闘を描く本作。イベントには1994年に発生した松本サリン事件の被害者で、事件後に報道被害を受けた河野義行氏が駆けつけた。
オリンピックに湧く96年の米アトランタを舞台に、爆弾の第一発見者として英雄視された警備員のリチャード・ジュエルが「FBIが疑惑の目を向けている」という実名報道を境に、暴走するメディアによって爆弾犯に仕立て上げられる。全国民の敵意にさらされるジュエルを支えたのは、無実を信じる弁護士と母親だけだった。ジュエルの母を演じたキャシー・ベイツが、第77回ゴールデングローブ賞で助演女優賞にノミネートされた。

ジュエルの無実が証明された後の97年、河野氏はアトランタでジュエル本人と対面しており、「やはり事件の構図や展開は、松本サリン事件とまったく一緒だなと思った」と回想。2人でニジマス釣りを楽しんだ思い出も明かし、「特にすばらしいなと思ったのは、ジュエルさんのお母さんの記者会見のシーンでした。本当に涙が出ました。ぜひ楽しんでください」とアピールした。
イベントには河野氏をはじめ、ジャーナリストの下村健一氏、報道キャスターの長野智子氏、リポーターの阿部祐二氏、タレントのデーブ・スペクター氏が出席。下村氏はTBSのニューヨーク支局に勤務していた際、ジュエル本人に取材をしたといい「ジュエル本人が『誤報はトップに、訂正は最後に報じられる』と言っていた。世間が不安に陥ったり、一刻も早く解決したいと結論を急ぐとき、メディアの暴走が起こる」と指摘。ポール・ウォルター・ハウザーが演じるジュエル像について「本物かと思ったほど、よく似ている。イーストウッド監督が史実を忠実に描こうとしていて、くぎ付けになった」と話していた。
「リチャード・ジュエル」は1月17日公開。
(C)2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
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