斎藤工、永野と同化した野心作「MANRIKI」は「“ジョーカー”を超えた部分がある」
2019年11月22日 21:38
[映画.com ニュース] 俳優の斎藤工が、お笑い芸人の永野とともに企画・プロデュース(「齊藤工」名義)を務め、主演も務めた映画「MANRIKI」の公開直前イベント「MANRIKI NIGHT」が11月22日、東京・銀座のPLUSTOKYOで行われ、斎藤と永野をはじめ、「DOBERMAN INFINITY」のSWAY、清水康彦監督が登壇した。
本作は斎藤、永野、金子ノブアキ、清水監督、そしてSWAYが加わった「チーム万力」の長編映画。サスペンス、ホラー、コメディなど多彩なジャンルを組み合わせ、過度の経済成長で得た豊かさの代償として、様々なコンプレックスを抱えた日本国民の姿を描く。公式SNSでは、フォロワー1万人を達成しなければ公開を中止するというキャンペーンを実施。このほどミッションを達成したことで、公開決定が宣言された。
製作に至るまでの3年間は「“日本映画への復讐心”のようなものが絶えず燃え上がっていた」と語った斎藤は、「永野さんの単独ライブを見た時に、(作風が)デビッド・リンチだと思ったんですよ」と振り返る。苦難の果てに完成した「MANRIKI」について「色々な意見があって、塚本晋也さんの『鉄男』だったり、ニコラス・ウィンディング・レフンの『ネオン・デーモン』のような作品と言う方も。独特のオリジナリティを醸し出し、鬱屈した思いの全てが作品に込められている。作品自体が“復讐劇”。ある意味『ジョーカー』を超えた部分があると思っています」と胸を張った。
ファッションイベントにゲスト出演した時に覚えた違和感から、原案・原作を着想した永野は「これだけは言いたい!」と口火を切り「斎藤工君しか、僕の脳内を具現化した主人公を体現できない。僕と“同化”することによって、今まで全く見たことがない“斎藤工”がいます。本来“斎藤工”の内にあったけど、なかなか出していなかった面が、見事にあぶり出されています」と太鼓判を押す。「自分が見てきた“斎藤工”のなかでは、一番好きです」と清水監督が同意すると、斎藤は「見た方が全キャラクターのなかに『永野さんを感じる』と仰っていますよね。これは、永野さんの世界観のなかでのSWAYさん、さらには全出演者に言えることです。永野さんのフィルターを通じた真実と向きあった」と切り返していた。
公開決定を祝した鏡開きが行われた後、斎藤は改めて本作へかけた思いを吐露した。3年間、大手映画会社から企画の不採用通知を受け取り続けたこと、番組出演時にスポンサーの関係で「MANRIKI」の宣伝ができなかったことを明かしつつ「こんなにも今の日本は、自由なようで不自由なんだということを痛感したんです。映画にはテレビではできないことを追求してほしい。お金をはらって、空間や時間を味わいたいという感覚が、かつての日本映画にはあったはず。そういう映画を作ってはいけないという流れや力、それこそ“万力”のような圧を多少なりとも感じました。でも、そういう圧力をかけられたことで、破裂するようなパッションが、この映画には宿ったと思っています」と熱弁していた。
「MANRIKI」は、11月29日から東京・シネマート新宿ほか全国で順次公開。
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