アリシア・ビカンダー、日本語セリフで3分間の長回し「あんなに興奮したことはない!」
2019年11月17日 12:00
[映画.com ニュース] Netflixオリジナル「アースクエイクバード」(配信中)で主演を務め、流ちょうな日本語の演技を披露したハリウッド女優アリシア・ビカンダーが来日。映画.comの取材に応じ、女優としての姿勢や日本語での演技について語った。(取材・文・写真/編集部)
今作は、1980年代の日本を舞台に、日本人の写真家と恋に落ちた外国人女性が、三角関係に悩まされ、行方不明の末に殺された友人の殺人容疑をかけられてしまう様子を描いたサスペンスミステリー。ある時、日本で暮らしていた外国人女性リリー(ライリー・キーオ)が行方不明になり、やがてリリーと思われる死体が発見される。友人であるルーシー(ビカンダー)に容疑がかけられるが、ふたりの間にはミステリアスな日本人カメラマン禎司(小林直己)の存在があった。原作は、日本在住経験のあるイギリス人作家スザンナ・ジョーンズが2004年に発表した同名小説。リドリー・スコットが製作総指揮を務めた。
まだまだですが、これまでキャリアで上手くいったことを何度も繰り返す方が楽だと分かっています。でも、それでは成長が止まってしまう。居心地のいい場所から自分自身を押し出して仕事をするようにしています。間違いを犯すかもしれないけれど、何かをやり遂げたときにこそ芸術というものが生まれるのだと思っています。
それはもう! ひと晩中眠れませんでした(笑)。どれだけ練習したかわかりません。最初に英語版の台本を読んで、その後に日本語版を言葉に出してみたのですが、どうしても口語の日本語と合わなくなる部分が出てきます。バイリンガルの女優さんが日本語のダイアログコーチとしてついてくださって、感情のある言葉になるように翻訳し直しました。メイクさんを相手に日本語のセリフを練習していて、彼女は毎朝2時間くらい付き合ってくれました。直己さんや、とにかくみなさんにおかしなところがないか聞いてもらいました。演技中はセリフよりも感情に集中したかったので、先にセリフを何時間も繰り返し練習することで、考えなくても口からついて出るようにしておきたかったのです。
ホームランを打ったような感じで、あんなに興奮したことはありません! 「イエス!」ってみんなの前を走り回りました(笑)。普段はそんなことしないのですが、1シーンのためにこんなに何週間も準備して練習したことがなかったので、つい……(笑)。すごく緊張しましたが、同時に素晴らしい機会でもありました。私は世界がもっと融合したらいいと思っているからです。子どもの頃、アジア映画を見られる機会はあまりありませんでした。それが今では今作のような作品があるのです! それに、今作に出演したことで「私は何語でだって演技ができる」というアピールにもなっています(笑)。私には、一緒に仕事がしたい監督や役者たちが世界中にいますから。
映画は大好きですし、映画館の大きなスクリーンでみんな一緒に作品を見るという体験はもちろん貴重で、その魅力はなくなったりはしません。ですが一方で、家で時間のあるときに、夫に「一緒にNetflixを見よう」って言ったりもします。(Netflixがもたらした)映像作品へのアクセスの良さは、普段の生活に入り込んでいてそれもまた貴重だと思います。
真実味を感じていただけたなら、それはウォッシュのおかげです。才能あふれる彼が描きたい日本が描かれていたと思いますし、私たちもそのビジョンを信頼していました。巨大な映画産業、その文化、メインストリームメディアが尊重されるなかで、自分のアイデアを曲げない強い意志を持つのは大変なことです。私もスウェーデンという小さな国の出身なので、「本当の地元はこんなんじゃない」と思う気持ちが理解できます。大きな市場がステレオタイプ的にトーンを決めてしまいますから。しかし、今は多様なコンテンツを作る機会があり、いろいろな趣の作品がつくられていると感じています。
不安やトラウマといった痛みを抱えているときは、孤独を感じて心を閉ざしてしまいますよね。年齢を重ねると、今の自分を形成した子ども時代の記憶が、同じ経験をしたはずのきょうだいの記憶と異なっていることに気が付くことがあります。みんなそれぞれ違うかたちで記憶しているんです。そして、だんだんと実際は何が起こって、どんなことが自分に影響したのか理解し始める。自分の物語を他者と共有して話し合うことが大切で、そのなかで抱えている罪悪感のようなものをなくしていくことができるのだと思います。
「アースクエイクバード」は、Netflixで独占配信中。
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