アカデミー賞国際長編映画賞の選考ルールが改定に
2019年11月7日 12:00
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[映画.com ニュース] アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が、本年度より外国語映画賞改め国際長編映画賞となった同部門について、選考ルールも併せて改定することが明らかになった。米Wrapなどが報じている。
同部門のノミネート作品選定をめぐっては、ボランティアを買って出たアカデミー会員からなる一般選考委員会が、候補対象作品をすべて見たのにもかかわらず、マルジャン・サトラピ監督による長編アニメ「ペルセポリス」(イラン)やメキシコの鬼才カルロス・レイガダス監督の「静かな光」、クリスティアン・ムンジウ監督の「4ヶ月、3週と2日」(ルーマニア)といった、ノミネートされてしかるべき秀作の数々を見過ごすという失態が相次いだことを受け、2007年にルールを刷新。以降は、一般選考委員会が世界各国からエントリーされた全作品を見て6本まで絞り込む「フェーズ1」(予備審査)、そこに選りすぐりのメンバーで構成された執行委員会が厳選した3本を加えて最終候補を9本としたのち、米ロサンゼルスとニューヨーク、英ロンドンの3都市の劇場で、計40名の執行委員会メンバーが9作品を鑑賞する「フェーズ2」を経て、ノミネート作品5本が決定するという3ステップの選考過程を採用していた。
しかし、最終決定が執行委員会の手に委ねられるのは民主的ではないという批判を受け、アカデミーは2年前から、「フェーズ2」においてロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンの劇場で最終候補作を鑑賞したアカデミー会員にノミネートの投票権を与えるとともに、同3都市での上映に参加できない海外在住の会員には、ストリーミングで最終候補作を視聴できるようにするといった便宜をはかるなど、改善に努めてきた。また昨年には、ロサンゼルス在住かつ最終候補の全9本を劇場で鑑賞した会員に、ノミネートの投票権を与えるという特別措置も導入。そして今回ついに、全アカデミー会員に投票権を与えるという大幅なルール改定に踏み切った。
一般選考委員会が対象となる全出品作(今年は過去最多となる93本)を試写して7本に絞り込んだのち、執行委員会がそこで見落とされたものの、最終候補に残すべきだと判断した3本を付け加え、最終候補の10本(昨年までは9本)を選定するまでの流れは変更されない。しかし、現行のルール下では、最終候補全作を指定の3都市の劇場で鑑賞した会員のみにノミネートの投票権が与えられていたのが、改定後は会員専用サイトならびに米Appleが新ストリーミングサービス「Apple TV+」と同時に立ち上げたばかりのアプリ「アカデミー・スクリーニング・ルーム」で最終候補10作品をストリーミング視聴した会員であれば、誰でもノミネート作品の5本を決定するための投票を行うことができるようになる。
これまで実際にはごくわずかなエリート会員らが選定していた同部門のノミネート作品が、大幅なルール改定によって劇的な変化を遂げることになるのか、20年1月13日のノミネート発表に注目が集まる。
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