新川優愛、体型が戻ったホアキン・フェニックスに安堵「少し丸くなられた」
2019年9月30日 17:00
[映画.com ニュース] 「バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、映画オリジナルのストーリーで描くいた「ジョーカー」の公開直前イベントが9月30日、都内で行われ、同作の大ファンだという劇団ひとり、女優の新川優愛、アメコミ映画ライターの杉山すぴ豊氏が登壇した。
第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、DCコミックスの映画化作品としては史上初となる最高賞の金獅子賞を受賞。コメディアンで、演出家・脚本家でもある劇団ひとりは「生々しくて……。途中からこれは実話で、どこかにジョーカーがいるんじゃないかと思ってしまうくらいにのめり込んだ」と絶賛。さらに、「ジョーカーといえばサイコなキャラクターですが、この映画を見ていると、お母さんを思い出し、子どもが好きで笑わせたいと思っていたり、ジョーカーに同情してしまうところがある。誰もが紙一重でジョーカーになるんじゃないかと。だからこそ問題作だなと思いました」と付け加えた。
そして大の映画好きだという新川は、「この映画はジョーカーのエピソード0を描いていて。もちろんやってしまっていることは大賛成とは言い辛いんですが、それまでの経緯を見るとジョーカーも人間なんだなと。そういった生々しいところが見られると思いました」と続けた。
今回のイベントに先駆けて、ふたりからトッド・フィリップス監督、主演のホアキン・フェニックスに対する“預かりインタビュー”を実施。この日は、届いたばかりの映像が初披露された。劇団ひとりからフィリップス監督への「ジョーカーが裸で座っている背中がすごく不気味で印象的でした。どうしたらそう見えるんですか?」という質問に、「彼の背中を映すシーンは多い。ベンチのシーンは計画していたわけではなく、ホアキンが演技を始めたので、どう撮ろうかと考えた。最も美しいと思うアングルに決めたんだ。映し出されたのはCGなしで24キロ減量したホアキンの姿。僕はそれを美しいと思ったよ」と明かす。
さらに「日本舞踏の影響は?」というひとりに質問に対しては、「(ダンスは)ホアキンが作り出したものなので、暗黒舞踏の影響を受けているのかどうかは彼にしか分からない」と返答。そして、「ジョーカーの中にはいつも音楽が流れているとホアキンに話していた。映画の中の音楽は頭の中の音楽だ。彼がジョーカーに変わるのと同時に音楽も変わっていく。音楽のアイデアとともにダンスについても話し合った。ダンスは彼の中から出てくる表現。そこから考え始めた」と語っていた。
それを聞いたひとりも、「丁寧に答えてくれてありがたいですね。これは褒め言葉ですが、背中が不気味なんですよ。24キロ痩せたからというのもあるし。でも驚いたのは、ハリウッドだとカット割りがあらかじめ決まっているのかと思ったら、現場に入って。そう撮ろうと思ったというのが意外でした」としみじみ語った。
続いて新川の「傷つきやすいアーサーをどのような気持ちで演じましたか?」という質問に、ホアキンは「彼には共感することもあって、とても複雑だった。共感できると思ったらその後、実に不快なことをやる。彼に抱いた感情はひとつではなかった。撮影中はずっと自分の価値観が試されていた。見た人の中には同情する人もいるし、彼の動機を理解する人もいる。逆に人を拒んでいると感じる人もいる。僕はその両方の感情が正しいと思う。観客は自分なりの解釈をすることを委ねられている。典型的な映画体験とは違い、映画に入り込むことが求められる。とても主観的な体験で、それこそこの映画の価値だと思う」と返答。それを聞いた新川は、「(インタビューに答えてくれて)うれしかったですし、体型が少し丸くなられたので。体重が少し戻ったのかなと思って安心しました」と笑ってみせた。
「ジョーカー」は、10月4日から全国で公開。
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