心優しき男はなぜジョーカーになってしまったのか? トッド・フィリップス監督が言及
2019年9月19日 19:00
[映画.com ニュース] DCコミックス「バットマン」シリーズに登場する悪役の誕生秘話を描いた「ジョーカー」が、10月4日から日米同時公開される。メガホンをとったトッド・フィリップス監督は、心優しき男アーサーがジョーカーへと変貌する過程について言及した。
2人暮らしの母からの「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という言葉を胸に、コメディアンを夢見るピュアで心優しい男アーサー。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助けていたが、やがて狂気あふれる悪へと変貌を遂げる。「ハングオーバー!」シリーズで知られるトッド・フィリップスが脚本・監督を務め、アーサーをホアキン・フェニックスが演じ、第76回ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた。
フィリップス監督は、自身を「一筋縄ではいかないジョーカーのファン」だといい、「彼の原点は映像化する価値があると思ったんだ。今まで誰も手をつけてこなかったし、コミックスの中にも正式な誕生秘話は出てこない。どうやって悪に転じてジョーカーとなるのか。ジョーカーではなく、ジョーカーの“成り立ち”に興味があったんだ」と、ファンだからこそ誕生の物語を追求したかったことを明かす。
アーサーについては「冒頭で僕らが出会うアーサーは、“人を喜ばすのが好きな男”でしかない」と、“悪のカリスマ”とはかけ離れた姿から描かれるといい、「ジョーカーは、観客にこっそりと忍び寄ってくるんだ。ホアキンはプロセスへのこだわりがとても強いから、アーサーからジョーカーに突如として変貌することは決してない。彼の演技は緻密な計算の上に成り立っているんだよ」と、さまざまな要因が積み重なり、徐々にジョーカーへと変わっていくことを示唆する。
フェニックスがアーサーとジョーカーを演じ分ける際には、服やメイク以外にも、フィリップス監督の演出を演技に生かすことがあったそう。例えば、フィリップス監督がイメージしたアーサーは、世の中の苦労を一人で背負うかのように重い足取りで歩く。そのため、冒頭のアーサーはくたびれた様子で足を引きずるように階段を上っていく。ところが、後のシーンで同じ階段を下るアーサーはまるで別人のようになり、身のこなしもまったく違っている。
フィリップス監督が「何人かの人たちは、“今、彼がジョーカーになった”と思うかもしれない。アーサーがジョーカーの格好をしているのを見てね。でも、違うんだ。実際は、その前にゆっくりと起きてきているんだ。そこがとてもクールだと思う」と語るように、“巨悪”へと変貌していく過程にも注目だ。
「ジョーカー」は10月4日から日米同時公開。
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