清水崇×平山夢明、ジョーダン・ピール「アス」を読み解く
2019年8月30日 16:00

[映画.com ニュース] ハリウッドの鬼才ジョーダン・ピール監督の最新作「アス」のトークイベントが8月29日、都内で開催され、「呪怨」の清水崇監督とホラー作家の平山夢明氏が作中の重要なモチーフや見どころを解説した。
本作は、自分たちにそっくりな謎の集団に襲われる、あるアメリカ人一家の物語。長編監督デビュー作「ゲット・アウト」でアカデミー賞脚本賞を受賞したピール監督が、監督・脚本・製作を兼ね、前作と同様に敏腕プロデューサーのジェイソン・ブラムとタッグを組んだ。
前作「ゲット・アウト」が全米で大ヒットし日本でも一躍脚光を浴びたピール監督に対し、、平山氏は「1作目がヒットしたからといって、観客に媚びることを拒否して、生々しい恐怖を植え付けて去る」と手腕を称え、清水監督も「僕は今回の方が好き。投げっぱなしかよ、と思う人もいるかもしれないけど」と同調。さらに、「ひとひねりがコメディ作家ならでは」(平山氏)、「ユーモアとひねりが各所にある」(清水監督)と語った。
そして、「自分と瓜二つの分身」というモチーフが描かれることから、平山氏はジャック・フィニイの「盗まれた街」の映画化作品(ドン・シーゲルの「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」など)との共通点として、アメリカの現代社会が反映されていることを挙げ、「怖いなと思ったのは、隣の人が困っているから全財産で救えと言われてもできない。救うべき人を救えない。イチかバチかを賭けた、革命的・社会的な運動をつくりずらい時代になっている」と考察した。
さらに2人は、ピール監督が本作の着想のひとつに挙げる1986年の慈善イベント「ハンズ・アクロス・アメリカ」や、劇中で不気味な雰囲気を出すのに一役買っているウサギの群れが「繁栄」や「過剰な生殖」のシンボルであることなどにも言及。、劇中で繰り返し出現するエレミヤ書11章11節は旧約聖書の預言書の1節であり、「民が神の声を聴かないから、神はもう民を助けない」という趣旨で、「これを知るとより怖く感じる」と清水監督。平山氏も、解消できない格差が世界的に蔓延し、限界に達していることに対して「監督からのメッセージが込められている」と指摘した。
「アス」は9月6日から全国で公開。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
ナイトフラワー
【衝撃の感動作】昼、母親。夜、ドラッグの売人――大切な人のためならどこまでも頑張れる。
提供:松竹
面白すぎてヤバい映画
【目が覚める超衝撃】世界中の観客が熱狂・発狂し、配給会社が争奪戦を繰り広げた“刺激作”
提供:松竹
この冬、絶対に観る映画はありますか?
【私はこれを絶対に観ますね!!】心の底から推す理由が、たんまりあります!
提供:ディズニー
人生にぶっ刺さる一本
すべての瞬間が魂に突き刺さり、打ち震えるほどの体験が待っている。
提供:ディズニー
日本で実際に起きた“衝撃事件”を映画化
【前代未聞の事件】そして鑑賞後、あなたは“幸せ”の本当の意味を知る――
提供:KDDI
なんだこの天才的な映画は!?
【物語がめちゃくちゃ面白そう――】非常識なまでの“興奮と感動”を堪能あれ
提供:ディズニー