「火口のふたり」荒井晴彦監督、的外れな批判におかんむり「こっちは50年、書いてんだよ」
2019年8月24日 13:27
[映画.com ニュース] 直木賞作家・白石一文の小説を映画化した「火口のふたり」の公開記念舞台挨拶が8月24日、東京・新宿武蔵野館で行われ、主演を務める柄本佑と瀧内公美、脚本も手がけた荒井晴彦監督が登壇した。
東日本大震災から7年目の夏を舞台に、妻も仕事も失った永原賢治(柄本)と、別の男性との結婚を控える佐藤直子(瀧内)が久々の再会を機に抑えきれない衝動のまま、かつてのように体を重ね合う。8月23日に全国11スクリーンで封切り。濃密な性愛シーンが描かれており、R18+指定となった。
「幼な子われらに生まれ」「共喰い」などの脚本家で、本作が監督第3作となる荒井監督は、客席の盛況ぶりに感謝を示しつつ「もっとお客さんに来てもらわないと。製作会社が危ないですよ。僕らもギャラをもらっていないし」と必死のアピール。主要キャストは柄本と瀧内のふたりのみで、「実験的と言われるが、単純に予算がないだけです」と笑いを誘った。
また、絶賛の声が相次ぐなか、「Twitterを見ていると『説明セリフが多い』とか(笑)。うるせーな、こっちは(脚本を)50年書いてんだよ。わかって、やってるんだよ」と的外れな批判におかんむり。一番うれしかったのは、実娘からの「3度目の正直だね」という言葉だといい「もう体もボロボロで、寿命との競争ですが、(ヒットすれば)4作目につながるかもしれない」と次回作への意欲を燃やしていた。
柄本と瀧内は、体当たりの熱演について「瀧内さんが堂々と“男らしく”どうぞって。鎧をまとわれては、せめぎ合いで時間がかかってしまうので、ありがたかった」(柄本)、「スタッフさんにおねだりして、順撮りにしていただいた。緊張しましたが、気持ち的には入りやすかった」(瀧内)と回想。さらに「あこがれの荒井晴彦作品に出演できた。僕にとって記念すべき、大事な作品」(柄本)、「わたしにとって大きな挑戦。これほど欲を映し出した作品は、なかなかない」(瀧内)と強い思い入れを語っていた。